2011 Fiscal Year Research-status Report
TRPチャネル発現グリア細胞が担う中枢性呼吸調節機構の解明
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23590292
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
平田 豊 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (10441247)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
越久 仁敬 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (20252512)
久保 秀司 兵庫医科大学, 医学部, 准教授 (10441320)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | TRP / グリア細胞 / 中枢化学受容器 / 二酸化炭素 / 呼吸調節 / 延髄 / ATP / カルシウム応答 |
Research Abstract |
本年度の研究では、中枢性呼吸調節において、CO2センサー機能するTRPチャネルの候補サブタイプの網羅的検出と選定を行った。すなわち、ドイツMax-Planck研究所Dr. Kirchhoffから供与されている、グリア細胞選択的に緑色蛍光性蛋白質(eGFP)が発現する遺伝子改変マウス(GFAP-eGFP-Tgマウス)の換気応答をwhole body plethysmography法にて計測し、高CO2負荷による換気応答の増加を確認した。次に、このGFAP-eGFP-Tgマウスの脳幹・延髄から単離した神経系細胞から、eGFP陽性であるグリア細胞をFACS Ariaによって選別回収した。 脳全体のTRP発現を基準として、延髄グリア細胞おけるTRP発現パターンを神経系細胞と比較するため、約30遺伝子からなるTRPサブタイプについてreal-time PCR解析を行った。さらに中枢性呼吸調節に関与が示唆されるKチャネルや炭酸脱水酵素のアイソホームなどの発現も検討した。 その結果、延髄グリア細胞で高発現している数種類のTRPサブタイプを見出した。そのうち、延髄以外の脳部位のグリア細胞で高発現していないTRPサブタイプの絞り込みを行っている。 一方で、それらのTRPサブタイプのうち、数系統のTRP遺伝子欠損マウスの使用が可能となったため、whole body plethysmography法による換気応答を検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究では、当初の計画にある中枢性呼吸調節における、CO2センサー機能するTRPチャネルの候補サブタイプの網羅的検出と選定を行った。その際、GFAP-eGFP-Tgマウスの脳幹・延髄から単離した神経系細胞から、eGFP陽性であるグリア細胞をFACS Ariaによって選別回収の条件検討に、多くの時間を費やしたが、赤色蛍光色素で生細胞の核を特異的に染色することにより、精度のよい選別回収法を確立できた。 その結果、約30遺伝子からなるTRPサブタイプについてreal-time PCR解析によって、延髄グリア細胞で高発現している数種類のTRPサブタイプを見出したので、今年度の研究計画は概ね達成している。 数系統のTRP遺伝子欠損マウスの利用が可能となったことは今後の進捗に大いに貢献すると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
TRPチャネルの候補サブタイプのうち、延髄以外の脳部位のグリア細胞で高発現しているTRPサブタイプと比較し、さらにTRP候補サブタイプの絞り込みをreal-time PCR解析などにより行う。 また、使用が可能となった数系統のTRP遺伝子欠損マウスのwhole body plethysmography法により、高CO2負荷による換気応答が減弱するか否かを検討する。 一方で、遺伝子欠損マウスの利用可能でないTRPチャネルの候補サブタイプついては、ウイルスもしくは電気穿孔法による遺伝子導入によるmiRNAi誘導発現抑制により、細胞培養系や脳幹スライス標本におけるCaイメージングなどの機能解析を行う。 さらに、呼吸中枢脳幹組織におけるTRPサブタイプ候補の発現分布の解析も行い、中枢性呼吸神経回路における中枢化学受容細胞の調節機構を構造機能相関性から検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度の実験結果を踏まえ、中枢性呼吸神経回路における中枢化学受容細胞の調節機構を構造機能相関性からの評価のために使用する。 TRP候補サブタイプのうち、どのTRPサブタイプがCO2センサー分子として機能するかを総合的に評価すため、細胞レベルでの機能解析に加え、miRNAiによりTRP発現抑制したマウスやTRP遺伝子欠損マウスをwhole body plethysmography法などによる解析などのために用いる。 さらに、得られた研究成果を論文及び国際学会などにて発表するための経費に使用する計画である。
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Research Products
(2 results)