2013 Fiscal Year Annual Research Report
ドパミンニューロンの開口放出とシナプス小胞の動態制御におけるシンタキシンの役割
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23590307
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
笹川 展幸 上智大学, 理工学部, 教授 (20187107)
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Keywords | exocytosis / chromaffin cell / amperometry / dopaminergic neuron |
Research Abstract |
クロマフィン細胞およびドパミンニューロンの開口分泌制御機構におけるシンタキシン1Aの役割を主題として研究を進めた。R151Gシンタキシン1A(CaMKIIとの結合能欠損)ノックイン(KI)マウス由来の副腎クロマフィン細胞をターゲットとし、アンぺロメトリィー法により、開口頻度の刺激に伴う時間的変化および開口分泌キネティクス指標をwild type(WT)マウス由来細胞と比較した。KI由来細胞では、アセチルコリン(ACh)3分間刺激による開口頻度が、特に刺激後半に有意に抑制さられた。また、刺激に伴う細胞内遊離カルシウム濃度変化は両者の間に有意な変化はなかったことから、シンタキシン1Aは分泌顆粒供給機構に重要な役割をはたしている可能性が示唆された。開口分泌(膜融合)過程のキネティクスを解析した結果、KIにおいてKClの30mM、AChの30μMの刺激時に分泌量と拡散速度の指標に減少傾向が認められた。更に、高速スキャニング共焦点顕微鏡による分泌顆粒動態解析では、刺激後の分泌顆粒の運動に抑制傾向が認められた。以上の結果から、シンタキシンIAは分泌顆粒供給機構および膜融合過程のキネティクスにも役割を演じている可能性が示唆された。マウス由来ドパミンニューロンの開口分泌制御機構におけるシンタキシン1A分子の役割については、十分なデータが得られなかったが、単一ニューロンでの開口現象をアンペロメトリー法で安定して捉える事に成功した。開口速度はマウスクロマフィン細胞に比べ、約20倍速く分泌ドパミン分子数は約1/50であった。また、Kiss and Run様開口分泌の割合はマウスクロマフィン細胞に比べ約2倍の割合で生じ、全開口現象の約40%の出現頻度を示した。これら新規の基礎的データをもとに、今後ドパミンニューロンにおけるシンタキシン1Aの役割、また新規生理活性物質の作用等を検討する予定である。
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