2011 Fiscal Year Research-status Report
転写因子IRF8とcAMP経路に共通するマクロファージ分化基本分子機構の解析
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23590343
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
西山 晃 横浜市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (80589664)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 免疫学 / マイクロアレイ / シグナル伝達 |
Research Abstract |
造血系細胞を含む、多細胞生物の細胞分化においては、各系譜に特異的な転写因子によってしかるべき下流遺伝子の転写の活性化、あるいは抑制が行われていることが必須であり、そしてその制御機構が破綻するとがんなどの疾患を引き起こしうる事が知られている。インターフェロン系転写因子IRF8はマクロファージを含む複数の血球細胞系譜において細胞分化を促進する。一方、その発現は慢性骨髄性白血病(CML)患者の血球細胞にて著減しており、またその欠損マウスはCML様病態を示す事から、IRF8がCML病態の重要な制御因子である可能性が示唆されていた。本研究においては、IRF8の機能解析を通じて血球系の分化機構を明らかにし、ひいてはIRF8をバイパスする白血病治療法の可能性を探ることを目標としている。本年度は、マクロファージ分化の分子機構を解析する目的で、IRF8遺伝子欠損マウスより樹立したミエロイド前駆細胞株Tot2細胞のin vitroマクロファージ分化系を用い、複数の経路から誘導したマクロファージの網羅的な遺伝子発現解析を行った。特に、これまでにマクロファージ分化を誘導することが判明している転写因子IRF8およびそのファミリー分子であるIRF4、IRF8を導入することなくTot2細胞を成熟マクロファージに分化誘導できるサイクリックAMP経路を活性化する薬剤、さらには新たに同定したマクロファージ分化に関わる転写因子による分化誘導系を解析した。マイクロアレイによる遺伝子発現解析により、これらの複数の経路に共通して発現が変動する遺伝子群を同定した。今後、これらの候補遺伝子の機能解析、プロモーター上流の制御因子の解析を通じて、マクロファージ分化への関与を検討し、さらには白血病治療に応用可能なIRF8をバイパスする分化経路の探索を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
昨年度は、IRF8を介したマクロファージ分化の分子機構を解析する目的で、IRF8遺伝子欠損マウスより樹立したミエロイド前駆細胞株Tot2細胞のin vitroマクロファージ分化系を用い、複数の経路から誘導したマクロファージの網羅的な遺伝子発現解析を行った。Tot2細胞を成熟マクロファージに分化誘導できることが判明している転写因子IRF8およびそのファミリー分子であるIRF4、IRF8を導入することなくTot2細胞を成熟マクロファージに分化誘導できるサイクリックAMP(cAMP)経路を活性化する薬剤、さらには新たに同定したマクロファージ分化に関わる転写因子による分化誘導系を解析した。マイクロアレイによる遺伝子発現解析により、これらの複数の経路に共通して発現が変動する遺伝子群を同定した。また、マクロファージ分化に関わる遺伝子群の抽出をより効率よく進めるために、マイクロアレイによる遺伝子発現解析だけではなく、ChIP-seq法を用いてIRF8の標的遺伝子を同定を試みている。これらを統合する事により、マクロファージ分化に関わる遺伝子、さらにはIRF8が関与する遺伝子ネットワークの理解が進み、IRF8をバイパスする経路の探索が促進できると期待される。このように、複数のマクロファージ分化誘導系において発現変動する共通の遺伝子群を得ることができ、さらにChIP-seq法との統合解析により、より精度の高い解析を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、主に2つの方向性で研究を行う予定である。一つは、これまでに得られたマクロファージ分化に関わると考えられる遺伝子の機能解析、もう一つはcAMP経路の下流分子の同定である。前者については、これまでに得られた遺伝子群のうち、ontology解析や、過去の報告を基にして、複数の分化経路で共通の発現変動を示す転写因子を選択する。これらの発現ユニットをTot2細胞に導入し、マクロファージ分化能を検討する。可能であれば、IRF8による分化誘導時にRNAiにより目的の転写因子の発現を抑制し、分化誘導が阻害されるかを検討する。また、マクロファージ分化に関わる遺伝子群の同定については、得られた網羅的データや各種データベースを用いて精度の高い解析を試みる。後者については、cAMP経路の下流の分子に特異的なcAMP派生物や阻害剤を用いて、マクロファージ分化の誘導に関わるcAMP依存的シグナル伝達系を同定する。また、上記の同定された遺伝子群についても、プロモーター解析を行い、CREを含むなどcAMP経路の下流と考えられる遺伝子を抽出し、同様に遺伝子導入により、その効果を評価する。効果が得られた遺伝子については、生体において実際にマクロファージ分化に関与する事を、遺伝子導入lineage陰性細胞のマウスへの輸注実験により確認する。また、得られた結果については随時取りまとめ、学術誌、学会での報告、発表を行う
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
昨年度と同様に、常に使用される分子生物学・生化学用酵素、タンパク質発現を検討するための抗体、細胞培養および遺伝子導入の為の試薬・プラスチック製品に加え、マイクロアレイ解析の為の試薬を購入する。基本的な実験設備は研究室に備わっており、また、横浜市立大学ではマイクロアレイスキャナーなどの共同機器を用いることができるので、特別な設備備品費については研究費を使用せず、主に消耗品について研究費を使用する。
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Research Products
(10 results)
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[Journal Article] Shared and Distinct Functions of the Transcription Factors IRF4 and IRF8 in Myeloid Cell Development2011
Author(s)
Yamamoto, M., Kato, T., Hotta, C., Nishiyama, A., Kurotaki, D., Yoshinari, M., Takami, M., Ichino, M., Nakazawa, M., Matsuyama, T., Kamijo, R., Kitagawa, S., Ozato, K., Tamura, T.
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Journal Title
PLoS One
Volume: 6
Pages: e25812
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] The transcription factor IRF8 rescues the dendritic cell development impaired by p210 Bcr/Abl.2011
Author(s)
Watanabe T, Hotta C, Sato GR, Yamamoto M, Fujita H, Sakai R, Fujisawa S, Nishiyama A, Aihara M, Ishigatsubo Y, Tamura T
Organizer
第34回日本分子生物学会年会
Place of Presentation
パシフィコ横浜(神奈川県)
Year and Date
2011年12月14日
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