2012 Fiscal Year Research-status Report
トリプトファン代謝からみた情動の分子機序解析と代謝性精神疾患の原因遺伝子の同定
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23590362
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
船越 洋 旭川医科大学, 医学部, 教授 (40273685)
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Keywords | Tryptophan |
Research Abstract |
トリプトファン(Trp)代謝の中でキヌレニン代謝の重要性が報告されてきているが、依然としてそのcontributionの確定にはハードルがある。その最大のハードルは、Trpからキヌレニンへの代謝の律速酵素が2つあることである。1つは、トリプトファン2,3-ジオキシゲナーゼ(TDO)で、もう一つがインドールアミン2,3-ジオキシゲナーゼ(IDO)である。我々は、両酵素の単独ノックアウトマウス(Tdo-KO)および(Ido-KO)を作成する事で、で両酵素を介したTrpーキヌレニンーNAD代謝系の重要性を解析している。また、両KOマウスのダブルKOマウス(Tdo/Ido-KO)を作成し、解析を進めた。すでにTDO-KOマウスでは全身の血液中のトリプトファン(Trp)がコントロールに比較して約10倍に増加する事を見いだして報告しているが、この上昇が食事で変化するかを解析した結果、トリプトファン食(0.17% Trp)では、血液中のTrpレベルがコントロールマウスより上昇していたが、一方で低トリプトファン食(0.06% Trp)では、血液中TrpレベルがTdo-KOとコントロールで同等であった(Maeta A. et al., International Journal of Tryptophan Research, in press)。キヌレニン代謝物であるナイアシンは、Namを介して体の成長に寄与すると考えられるが、その過程でTDOの意義を見るために、TDO-KOマウスのナイアシン欠乏食の影響を評価した。その結果、ナイアシン欠乏食においても短期間であれば、コントロールマウスと比較して体の成長に差がない事が明らかとなった(Terakata et al., J. nutrition, in press)。現在生殖工学を用いてダブルKOマウスを作出し、更なる解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請者らのオリジナルなマウスの解析が、滋賀県立大学の柴田教授らのグループとともに、順調に進んでいる事に加えて、ヨーロッパのグループとも進んでいる。その結果2つの論文がin pressとなっている。また、別の論文も投稿中である。さらに、研究室での研究も順調に進み、Ido-KOマウスの解析のデータで論文を作成中である。また、Tdo/Ido-ダブルKOマウスの作出も進行中で、特にダブルKOマウスの解析をすすめられれば、トリプトファンーキヌレニン代謝経路のin vivo解析に大きな突破口になると期待できる。ただし、Tdo-KOでは、血液中のTrp濃度が焼く10倍と高レベルになる事から、親のミルクからのTrpの供給レベルが各遺伝子系で異なる点が解析データを修飾すると危惧される。この課題に対しては、生殖工学を駆使する事で皆生いつしていく事を考えている。まず、昨年度生殖工学の技術を研究室で立ち上げた。約1年を要したが、他の疾患モデルトランスジェニック動物での生殖工学による動物作出条件の検討が終了し順調に走り出している事から、今後はマウス交配による動物作出に加えて生殖工学を駆使する事でTdo/Ido-ダブルKOマウスを作出していきたい。そして里親に出生直後の動物を世話させる事により、親の遺伝型によるミルクのTrp濃度の違いが問題にならないような形を考えている。また、Trp代謝の高次脳機能への重要性を解析するには、十分な動物数を確保する必要性があるが、この点でも生殖工学を研究室で立ち上げられた意義は大きく、今後研究が加速できると期待している。
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Strategy for Future Research Activity |
Tdo/Ido-ダブルKOマウスの作出を生殖工学をもちいることで加速し、成果をあげていきたい。 また、ヒト患者さんの解析についても解析を進める事で、TDOおよびIDOの代謝および高次脳機能に対する意義を明らかにしていく予定である。ただし、Tdo-KOでは、血液中のTrp濃度が焼く10倍と高レベルになる事から、親のミルクからのTrpの供給レベルが各遺伝子系で異なる点が解析データを修飾すると危惧される。この課題に対しては、生殖工学を駆使する事で皆生いつしていく事を考えている。まず、昨年度生殖工学の技術を研究室で立ち上げた。約1年を要したが、他の疾患モデルトランスジェニック動物での生殖工学による動物作出条件の検討が終了し順調に走り出している事から、今後はマウス交配による動物作出に加えて生殖工学を駆使する事でTdo/Ido-ダブルKOマウスを作出していきたい。そして里親に出生直後の動物を世話させる事により、親の遺伝型によるミルクのTrp濃度の違いが問題にならないような形を考えている。また、Trp代謝の高次脳機能への重要性を解析するには、十分な動物数を確保する必要性があるが、この点でも生殖工学を研究室で立ち上げられた意義は大きく、今後研究が加速できると期待している。また、今後もドイツ、オーストラリア、米国および国内の複数の施設と共同研究を進める事で、TDOとIDOの意義を詳細に解明していきたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
マウスの作出や、生殖工学、ゲノム遺伝子解析に加えて、生化学解析、組織解析および行動解析を進めていく。このために主に消耗品費用として計上している。また、昨年度の繰越金については、今年度のreal-time PCR用キットを購入するために使用する予定である。年度末に商品在庫がなっかたため本年度での使用となった。
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[Presentation] Indoleamine 2,3-dioxygenase predominantly regulates circulating kynurenine levels dependent on plasma tryptophan levels, which are controlled by tryptophan 2,3-dioxygenase, in vivo2012
Author(s)
Kanai M., Ohyama F., Tone S., Nakamura T., Funakoshi H.
Organizer
The 13th International Society for Tryptophan Research (ISTRY) meeting, Syndey, Australia.
Place of Presentation
Syndey, Australia.
Year and Date
20121107-20121109
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