2011 Fiscal Year Research-status Report
チンパンジーとヒトのFOXP2転写因子の脳内標的の異同の解析
Project/Area Number |
23590383
|
Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
及川 恒之 北海道医療大学, 心理科学部, 教授 (80150241)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 健史 北海道医療大学, 心理科学部, 助教 (60583903)
太田 亨 北海道医療大学, 個体差健康科学研究所, 准教授 (10223835)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | 言語関連遺伝子 / FOXP2 |
Research Abstract |
FOXP2は言語関連遺伝子として注目を浴びており、その変異は特異的言語障害を起こす。また、FOXP2タンパクは齧歯類からチンパンジーまで1つのアミノ酸の変化しか伴わない、高度に保存されたタンパクである。ヒトに進化した段階で2つのアミノ酸変化をきたしており、転写因子であるFOXP2のターゲットを同定することは、言語障害の診断ばかりでなく、ヒトの言語の進化を考察するうえで非常に有用である。そこで我々は、ヒト、チンパンジー、ヒトisoform特異的FOXP2遺伝子のTET ON/OFFプロモーター下流に挿入されたtransgeneをFlip in recombinazeで、Hek293由来細胞株に導入した。これらの操作は、すべての生物学的backgroundを同一にし、それぞれのtransgeneをONにした場合に、変化をきたす遺伝子群をスクリーニングするためである。Human Gene 1.0 ST Arrayに4種のtransgeneのON/OFF 3サンプルづつハイブリし、変化のある遺伝子群を選出した。結果的にTet OFFでもtransgeneからリークしており、必ずしもOFFとONの状態ではないことが明らかになた。したがって単純な2群間の分散分析では本当の変化した遺伝子がスクリーニングできないことが明らかになった。また、スクリーニングで使用する統計学的手法により選び出される遺伝子群が大きく違っていた。どの統計学的手法で選び出すべきかを検討した。また、volcano法でOFFとONのグループに差が大きかった遺伝子群30個を選び出し蛍光LUXプライマーを用いてreal time PCRで再現性を確認した。使用したHek293細胞はヒト胎児腎細胞が由来であるが、神経で特異的に多く発現している遺伝子も今回のスクリーニングで陽性に出ており、神経特異的遺伝子に絞って再解析中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
得られたヒト・チンパンジー・ヒトisoform特異的FOXP2とnegative controlのCAT遺伝子のON/OFFで1サンプルあたn=3アレイ解析を行った。そのため8種類24サンプルのアレイ結果を得ているが、そのグループで有意差を示す遺伝子の選出法に難儀している。TET OFFといえどもtransgeneから目的の遺伝子がリークして発現しており、またnegative controlからもendogenousなFOXP2の発現が見られる。このような状態を考慮して、2群間の分散分析では挿入した遺伝子特異的に変化した量的違いをとらえにくい。多変量解析なども試みたが、選出されてきた遺伝子群はリアルタイムPCRの再現性確認では有意に差がでない遺伝子が多い。多量なデーターから本当の変化を検出するのに時間を要した。
|
Strategy for Future Research Activity |
マイクロアレイスクリーニング結果に対する多グループ間の比較における効率的な解析方法を探索するために、さまざまな手法を試みる。現在のところ、他群のなかでTet ON negative controlとの各ヒト、チンパンジー、または、ヒトisoform Tet ONの2群間での分散分析で有意差のあった遺伝子群のなかで、発現量の倍率が大きく変わった遺伝子群を拾い上げ、その遺伝子のOFF群や、他transgene群での動きを視覚的にみるのが最も再現性が高い。この陽性遺伝子群のなかで、神経特異的に発現の多い遺伝子を選びぬき、real time PCRで再現性の確認。また、FOXP2転写因子の影響をみるために、スクリーニング陽性遺伝子のプロモーター領域をレポーター遺伝子に組み込んで発現量の影響を確認する。これにより、ヒト特異的、チンパンジー特異的、ヒトisoform特異的に標的となっている遺伝子を同定する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
比較的多数の遺伝子の再現性を確認する必要があり、Real time PCR用のtaqman probe作製と、そのキットが主な消耗品となる。また、転写因子影響によるプロモーター活性をみるための、アッセイ用キットも購入する。これらのキットを使用する機器はすでに設置してあり、消耗品のみの購入で実験遂行可能である。
|
Research Products
(7 results)
-
-
-
-
[Presentation] 5q31.3 microdeletion syndrome is a clinically discernible new syndrome characterized by severe neonatal hypotonia, feeding difficulties, respiratory distress, and severe developmental delay.2011
Author(s)
K. Hosoki, T.Ohta, J. Natsume, S. Imai, A. Okumura, T. Matsui, N. Harada, F. Scaglia, C.A. Bacino, N. Niikawa, S. Saitoh.
Organizer
12th ICHG/61th ASHG2011
Place of Presentation
Montreal
Year and Date
Oct 11-16, 2011
-
-
-