2011 Fiscal Year Research-status Report
原発性胆汁性肝硬変の胆管病変における性ホルモンの関与と治療戦略
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23590393
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
原田 憲一 金沢大学, 医学系, 准教授 (30283112)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 原発性胆汁性肝硬変 / 胆管 / エストロゲン / エストロゲン受容体 / 病理学 / AP-1 / エストロゲン関連受容体 / 培養細胞 |
Research Abstract |
原発性胆汁性肝硬変(PBC)は中高年に好発する胆道系疾患で、性差の一因としてエストロゲンの関与が想定されている。本年度は、胆管に対するエストロゲン作用について明らかにするため、胆管細胞におけるエストロゲン受容体(ER)およびER介在性のエストロゲン応答を制御するエストロゲン関連受容体(ERR)の発現を検討した。その結果、ヒト培養胆管細胞を用いた検討にて、胆管はERβおよびERRα, ERRγ mRNAを発現していた。軽微ながらERαも発現していたが、17β-Estradiol (E2, 100pg/ml)刺激による明らかな細胞増殖活性の亢進は認めなかった。免疫染色にて、末梢小型胆管はERβ,ERRα,ERRγのいずれも発現しており、特にPBC傷害胆管でのERRγの発現は、中高年女性の対照群に較べて亢進していた。また、ER/ERRの標的遺伝子であるAP-1発現はPBC障害胆管で亢進していた。以上の結果より、ヒト胆管細胞を用いた検討では、E2による細胞増殖活性の明らかな亢進は認めなかった。また胆管細胞はERのみならずERRも発現しており、胆管におけるエストロゲンシグナル伝達調節にERRが関与していると示唆された。また、PBC障害胆管ではERRγおよびAP-1の発現が亢進していることから、胆管に対するエストロゲン応答の異常がPBCの病態形成に関与している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
初年度の研究課題として、培養胆管細胞の樹立と肝組織の収集に加え、胆管細胞におけるホルモン受容体および細胞動態の解析を計画していた。細胞の樹立と組織収集は順調であり、研究内容については研究成果の概要の如く、当初の計画は充分に達成されたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
24年の研究内容として、(1)胆管におけるIntracrinologyの解析,(2)エストロゲン関連受容体の発現と機能の解析,(3)胆道系自然免疫および獲得免疫へのホルモンの影響の解析を計画している。初年度に樹立した培養細胞および収集した肝組織を用いて、研究を遂行する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
備品については購入予定はない。次年度の研究費は、実験に必要な培養関連、免疫組織化学等の消耗品の購入に充てる。
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Research Products
(5 results)