2011 Fiscal Year Research-status Report
大腸癌肝転移を促進する骨髄間葉系幹細胞を標的とする治療
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23590430
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
大森 斉 奈良県立医科大学, 医学部, 博士研究員 (80213875)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
國安 弘基 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (00253055)
北台 靖彦 広島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (10304437)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 骨髄間葉系幹細胞 / がん幹細胞 / HMGB1 / TGFβ / 大腸癌 |
Research Abstract |
1癌細胞が分泌する因子の中で骨髄間葉系幹細胞に作用するものを検討するため、CT26マウス皮下腫瘍系において間葉系細胞の移行の高度であったリノール酸処理と無処理で発現の変化をDNAアレイにて検討したところ、TGFα、HMGB1、TGFβなどが抽出された。その中でHMGB1は骨髄間葉系幹細胞の増殖、細胞運動の促進をもたらし、HMGB1ゲルをマウス皮下に移植すると骨髄間葉系幹細胞の浸潤が有意に増加した。さらに、骨髄細胞をGPF陽性マウス細胞に転換したマウスを用いでCT26皮下腫瘍を形成すると骨髄間葉系幹細胞の浸潤見られるが、HMGB1抗体投与により有意にその数は減少した。これらのことから、骨髄間葉系幹細胞の浸潤の腫瘍内誘導に腫瘍が産生するHMGB1が重要な働きをしていると考えられた。腫瘍内で骨髄間葉系幹細胞が幹細胞の状態を維持する条件としてTGFβbに注目した。間質内骨髄間葉系幹細胞数が豊富である粘液腫瘍間質を示す大腸癌と通常の間質を形成する大腸癌で間質内のTGFβ3型受容体であるビグリカンの発現を検討すると、粘液腫状間質で有意に発現が高く、また、発現が高い部位に一致して骨髄間葉系幹細胞が多く認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
HMGB1による骨髄間葉系幹細胞の誘導、および、癌間質内へのbigycanによるTGFβの貯留によるstemnessの維持というメカニズムが存在する可能生が明らかになった。今後より詳細な検証が必要であるが、重要な進展と考えられる。骨髄系間葉系幹細胞の癌細胞への影響、骨髄系間葉系幹細胞への癌細胞の影響についても、現在、アレイ解析をもとに興味ある遺伝子を絞り込んでおり、今後の検討により有用な知見が得られると期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
HMGB1とTGFβを介した骨髄系間葉系幹細胞の性質の変化の検討、骨髄系間葉系幹細胞の癌細胞への影響、骨髄間葉系幹細胞への癌細胞の影響の3点を中心に検討を行う。また、当初の研究計画にはないが、biglycan/TGFβ系の転移関与が強いことが明らかになった粘液腫状間質を有する大腸癌症例はさらに糖尿病との関連が強く、この関連の背景にあるメカニズムについても検討を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
RAGEノックアウトマウスの骨髄間葉系幹細胞を用いた検討、TGFβまたはHMGB1ノックダウン細胞株による腫瘍内骨髄間葉系幹細胞の変化などの遺伝子改変実験、および、糖尿病モデル動物を用いた実験に主に研究費を使用する計画である。
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Research Products
(6 results)