2012 Fiscal Year Research-status Report
大腸癌肝転移を促進する骨髄間葉系幹細胞を標的とする治療
Project/Area Number |
23590430
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
大森 斉 奈良県立医科大学, 医学部, 研究員 (80213875)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
國安 弘基 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (00253055)
北台 靖彦 広島大学, その他の研究科, 准教授 (10304437)
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Keywords | 脂肪酸 / リノール酸 / エライジン酸 |
Research Abstract |
リノール酸(LA)やエライジン酸(EA)などの生理活性を有する脂肪酸が、大腸癌の転移を促進することをすでに報告して来たが、今年度はこれらの脂肪酸と腫瘍内の幹細胞への影響をマウス皮下腫瘍モデルを用いて検討した。CT26マウス大腸癌細胞を同系のBALB/c雄性マウス皮下に接種し、その後週1回1mg/マウスのLA、EAまたは溶媒の50%エタノールを胃内投与し4週後に屠殺し腫瘍を検討した。体重や主腫瘍径は群間に有意差はなかったが、総腫瘍重量およびリンパ節転移はEA群、LA群、対照群の順に多かった。nucleostemin (NS)陽性CT26細胞はEA群・LA群ともに対照群を上回ったが、CD133陽性CT26細胞はLAで最も多かった。NS、CD133陽性間質細胞は、LA群、EA群、対照群の順に多く見られた。LA群・EA群では、CD31陽性新生血管は有意に増加しており、CD3陽性T細胞は減少していた。また、1回の経口投与でEAでは幹細胞のマーカーである血中nucleostemin mRNAレベルが上昇していた。このように、間欠的に摂取される脂肪酸が腫瘍内の間葉系幹細胞に影響を与えることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定された研究計画を達成するとともに、脂肪酸など新たな腫瘍内間葉系幹細胞影響因子の知見が得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
腫瘍内間葉系幹細胞に影響を与える因子として脂肪酸の可能性が認められた。新たな間葉系幹細胞影響因子を見出したことは、腫瘍における間葉系幹細胞の性質の検討の手段として利用可能であり、また、これを標的とする治療のツールとしても有用と考えられた。これまでに明らかになった腫瘍内間葉系幹細胞影響因子である、HMGB1、TGFb、リノール酸、エライジン酸を標的として用いて、間葉系幹細胞を抑制し、このときの腫瘍への影響を検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
RAGEノックアウトマウスの骨髄間葉系幹細胞を用いた検討、TGFβまたはHMGB1ノックダウン細胞株による腫瘍内骨髄間葉系幹細胞の変化などの遺伝子改変実験、長鎖脂肪酸受容体ノックダウン・ウイルスおよび、糖尿病モデル動物を用いた実験に主に研究費を使用する計画である。
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Research Products
(14 results)