2013 Fiscal Year Annual Research Report
大腸癌肝転移を促進する骨髄間葉系幹細胞を標的とする治療
Project/Area Number |
23590430
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
大森 斉 奈良県立医科大学, 医学部, 研究員 (80213875)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
國安 弘基 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (00253055)
北台 靖彦 広島大学, その他の研究科, 准教授 (10304437)
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Keywords | 骨髄間葉系幹細胞 / 癌幹細胞 / カロリー制限 / TGFβ / HMGB1 |
Research Abstract |
(1)前年度の研究により経口的に摂取したエライジン酸などの脂肪酸が腫瘍内への骨髄間葉系幹細胞(MSC)の動員を増加し腫瘍増大を促進することが明らかになった。そこで、摂食制限による脂肪酸摂取抑制がMSC動員にどのような影響をもたらすかを検討した。1週に1日絶食を行う観血的カロリー制限(ICR)を行うと、ICR解除時の過食に伴って腫瘍内のMSCが増加し、さらに、癌幹細胞(CSC)も増加した。このようなICRサイクルを長期間継続して施行すると腫瘍内のMSCおよびCSCともに徐々に増加し、転移能も促進された。一方、同等のカロリー制限を連日施行する(CCR)と、MSC・CSCともに当初のレベルを保ち増加は認められなかった。 (2)CT26培養細胞をIC50濃度の5FU処理する際にMSCを共培養すると5FUの増殖抑制効果が35%抑制されたが、MSCの代わりに3T3線維芽細胞を共培養すると抑制率は4%であった。さらに、マウス皮下にCT26腫瘍を形成しHMGB1中和抗体を5FUと同時処理すると、腫瘍内MSCは26%に減少しており、5FUによる腫瘍増殖抑制は45%抑制された。 (3)(2)と同様の系においてHMGB1中和抗体の代わりにTGFβ中和抗体を腫瘍内投与するとMSCは16%に減少しておりMSCラベル陽性の周皮細胞・筋線維芽細胞が認められており、TGFβ除去によりMSCの分化が促進されたと考えられた。このとき、CSCは非処理群より減少したが血管数は増大した。 これらの結果から、MSCの腫瘍内動員を抑制することによりCSCの誘導抑制をもたらし抗腫瘍効果が促進されると考えられた。
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Research Products
(12 results)