2012 Fiscal Year Research-status Report
肝細胞特異的Dicer欠損マウスを用いたmiRNAの腫瘍抑制能の解析
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23590482
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
関根 茂樹 独立行政法人国立がん研究センター, 研究所, ユニット長 (10321879)
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Keywords | 肝発がん / Dicer |
Research Abstract |
肝細胞特異的Dicer欠損マウスに自然発生する肝細胞がんの解析から、これらの腫瘍では種々の癌関連遺伝子の発現異常が起きており、その異常は腫瘍間で大きく異なることが明らかになってきた。この所見からDicerの欠損がそれ自体では腫瘍の発生を誘導できず、多様な癌関連遺伝子の異常と協調的して腫瘍形成を促進することを示していると考えられる。同時に、これらの腫瘍の多様性のため、Dicerがその腫瘍発生にかかわる特定のメカニズムの検索が困難であることが分かってきた。 この結果から、特定のがん遺伝子をDicerの片アレルを欠損した肝細胞に導入し、分子病理学的背景に関して一定の均質性を有する肝細胞がんを形成することを目的とした系を確立する試みを開始した。具体的には、肝細胞特異的Dicer欠損マウスに尾静脈よりプラスミドベクターを用いて、トランスポゾンの発現により肝細胞に安定的に腫瘍関連遺伝子の導入を行う。これまでに、これに必要なベクターを構築するとともに条件検討を行い、安定的にマウス肝細胞に遺伝子導入と発現を行うことが可能となった。また、複数の遺伝子の導入によって腫瘍発生を認めており、今後、Dicerの欠損がこれレアの腫瘍発生にどのような影響を与えるか検索していく。 昨年度より継続して行っている化学発がんを用いた腫瘍形成促進に関する研究についても平行して行っており、平成25年度中に一定の結果が得られる事を目標として進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Dicerと既知癌関連遺伝子の相関を見る目的でトランスポゾンを用いた肝細胞への遺伝子導入を行うために予備的な実験を行い、ほぼ手技的には安定して遺伝子導入を行うことができるようになった。現在、複数の癌関連遺伝子を発現するためのベクターを作成している。 これと並行して化学発がんを用いた腫瘍形成促進に関する研究を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度、開始した経静脈的肝細胞を継続して行い、Dicerの欠損と広く知られている肝細胞癌関連遺伝子の機能的相関を中心として検索を進めていく。 昨年度より継続して行っている化学発がんを用いた腫瘍形成促進に関する研究については、平成25年度中に一定の結果が得られる事を目標として進めていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
おもにマウスの購入・飼育費および分子病理学的解析に用いる消耗品の購入に充てる。
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Research Products
(1 results)