2011 Fiscal Year Research-status Report
胚中心での新規なシグナル分子群発現調節によるB細胞選択の解析
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23590568
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
疋田 正喜 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60228715)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 胚中心B細胞 |
Research Abstract |
本研究年度においては、胚中心B細胞において従来T細胞でしか発現していないと言われていたシグナル分子群が発現しているということをFACSレベルで明らかにした。加えて、胚中心由来のバーキットリンホーマと言われているRamos B細胞株においても、同様の分子群を発現している株を単離することに成功した。当該細胞株を用いて解析を行った結果、上記のシグナル分子群が細胞の生存を介して、胚中心における細胞選択に深く関わっていることを示唆するデータが得られた。 一方、in vivoにおいて、これらの分子が免疫応答に重要な役割を果たしているのか否かを明らかにするために、細胞移植後の免疫応答を検討した。その結果、T細胞関連シグナル分子群を発現していないB細胞で再構成したマウスにおいては、T細胞依存性応答が正常マウスと異なることが明かとなった。これらのことは、上に述べたような胚中心B細胞における、T細胞関連シグナル分子の発現が、生理学的な意味をなさないbystanderな発現ではなく、積極的に胚中心B細胞の選択に関与していることを強く示唆している。加えて、これらのシグナル分子を発現した細胞が、どのような運命を辿るかを明らかにするためにGFPマークした実験においては、GFP陽性の細胞のうち一定の割合がアポトーシスに陥っているということが明かとなったことから、やはり、これらのシグナル分子が胚中心の選択に関与していることが示唆される結果が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画書においては、今年度においては、FACS解析によってどのようなシグナル分子が発現しているのか、全体像を明らかにすることを重要な目的としていた。実際に、多色FACS解析により胚中心B細胞におけるT細胞関連シグナル分子の発現プロフィールを明らかにできたことから順調に推移していると考えられる。また、in vitroでの解析を行うために、細胞株の樹立にも成功しており、骨髄キメラマウスを用いる実験系も確立できたことから、この点についても順調に進展していると考えられる。加えて、次年度以降により詳細な検討を行うために、コンディショナルノックアウトの作製も実施しており相同組換えを行ったES細胞が得られたことから、こちらも順調に解析が進んでいると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度にin vitro、in vivoの移植実験で行ったことを明らかにするために、コンディショナルノックアウトマウスの作製を進め、移植の系以外でも同様の表現型が得られることを明らかにする。また、一部、コントロールが不十分であることが判明した移植マウスにおける免疫実験も新たなマウスを導入することにより、確実なデータとする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
主に、マウスの作製と新規系統の導入、また、それらのマウスの解析に重点的に研究費を充てる。
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