2012 Fiscal Year Research-status Report
体系的な生体臓器移植医療システム構築に向けた生体ドナーの位置づけに関する研究
Project/Area Number |
23590595
|
Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
倉田 真由美 滋賀医科大学, 医学部, 客員助教 (50378444)
|
Keywords | 生体肝移植 / 生体肝ドナー |
Research Abstract |
【研究の目的】脳死移植が受けられないケースでは生体移植が今後も行われる故に、脳死移植との両輪と位置づけられている生体移植を今後どのように進めていくべきかそのあり方を示すことを目的とする。具体的には、(1)生体肝移植の社会的評価と課題を明確にし、(2)欧米との比較検討から、(3)生体ドナーの保護およびわが国の臓器移植医療の在り方を示すことを目的とする。本年度までに(1)(2)に取り組み以下の調査を実施した。 【研究の背景と目的】生体肝移植は重症肝不全の治療法の一つとして今では定着しつつある.日本は脳死移植に先行して生体移植が普及定着するという変則的な経緯を有す.この事実をメディアは社会一般にどう伝えたのか.【方法】新聞の見出しを用いて,生体肝移植がどのような傾向をもって伝えられたのか,また問題を提起するキーワードから,どのような内容が報じられたのかをテキストマイニングによって明らかにすることを試みた.【結果・考察】生体肝移植のレシピエントは「頑張る」ドナーは「助ける」のコンセプトで表される傾向がみられた.新聞報道を通じて,概括すると生体肝ドナーに関する問題,脳死移植への影響などの問題が提起されていた.生体肝移植のドナーへのリスクを報じる一方で,レシピエントの生存率の高さや技術面の安全性を強調する報道がなされていた.【今後の課題】今回の調査では新聞の見出しから報道の傾向と問題提示のされかたを明らかにしたものの,これを受け手がどのように読み・理解したのかについての解明には至っていない.今後,受け手側(世論)の調査を行うことでマスコミ(新聞)報道が果たした役割が見えてくるものと考える.引き続きこの後,世論調査を行い生体肝移植に対する社会意識について明らかにする予定であり,今回の研究とあわせて生体肝移植の普及におけるマスコミの作用および影響について考察・報告したいと考えている.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
【研究の目的】脳死移植が受けられないケースでは生体移植が今後も行われる故に、脳死移植との両輪と位置づけられている生体移植を今後どのように進めていくべきかそのあり方を示すことを目的とする。具体的には、(1)生体肝移植の社会的評価と課題を明確にし、(2)欧米との比較検討から、(3)生体ドナーの保護およびわが国の臓器移植医療の在り方を示すことを目的とする。 本年度までに(1)(2)に着手し現在、分析考察に取り組んでおり、おおむね順調に進展している。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、わが国における生体肝移植・生体肝ドナーの社会的な位置づけを明らかにするために、世論調査を行い生体肝移植に対する社会意識について明らかにする予定でありる。引き続き、最終年度には分析結果に基づき改善策の検討を行い、今後の移植医療のあり方について提言をまとめ医療現場へ還元、普及までを目標とする。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度はインターネットを使用した全国規模の世論調査を、2回(8~9月・10月~11月)に行い、生体肝移植に対する社会意識について明らかにする予定であり,この調査費用として助成金を使用する予定である。
|