2014 Fiscal Year Annual Research Report
体系的な生体臓器移植医療システム構築に向けた生体ドナーの位置づけに関する研究
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23590595
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Research Institution | 独立行政法人医薬基盤研究所 |
Principal Investigator |
倉田 真由美 独立行政法人医薬基盤研究所, 難病・疾患資源研究部, 特任研究員 (50378444)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 生体肝移植 / 生体臓器移植 / 社会意識 / テキストマイニング / 社会教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
2011年度は、①どのように生体肝移植が日本で適応拡大しながら普及したのかその過程を検証し、今後の検討課題を精査することを目的とした文献研究を実施した。生体肝移植は緊急性から実績を積み重ね、ほとんど社会的に議論されることなく今日まで順次移植適応を広げてきた。当初と比較すると肝移植の適応疾患は大きく変化し、現在は移植後再発、肝細胞癌の移植適応基準などが主要な問題となっている。生体肝移植の適応について、長期的なレシピエントの移植後のQOLを十分考慮した、広い見地からの検討が必要であることが明らかになった。 2012年度は②日本で普及を遂げた生体移植が、社会一般にどのように認識されているのか傾向と特徴を探ることを目的に電子調査票先着順型自記入式調査を実施した。結果、生体移植の実施について87.1%が肯定的で、80.5%が臓器提供をしてもよいと回答していた。また、45%が臓器移植が必要となった際、生体移植を受けたと回答し、うち3割が両親からの提供を希望していた。こうした社会意識の形成に大きく影響を与えるマスコミ報道に着目し、2013年度は生体肝移植がどのような傾向をもって伝えられたのか,テキストマイニングによって探索的に検証した。結果,生体肝移植のレシピエントは「頑張る」,ドナーは「助ける」とのコンセプトで表される傾向がみられ、生体移植の親密圏における臓器の贈与が「家族の助け合い」として伝えられ、社会意識として共有されていることを明らかにした。 ③移植医療は社会的理解があってこそ成立する、社会で支えなければならない医療であり、家族の自助で切り回すものではない。社会で支えるべきところが機能不全に陥っているがゆえに、家族がその犠牲となっている。移植医療の在り方についてボトムアップの議論を重ねて意見を集約し、どのような移植医療体制が社会に望まれているのか再確認する必要があると考えられた。
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Research Products
(4 results)