2011 Fiscal Year Research-status Report
医学教育における情報伝達・収集過程の分析ー医療面接と有害事象対応
Project/Area Number |
23590596
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
関 進 近畿大学, 医学部, 特別嘱託職員 (80422955)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森本 剛 近畿大学, 医学部, 教授 (30378640)
作間 未織 近畿大学, 医学部, 講師 (60349587)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 医療面接 / 有害事象 / コミュニケーション / メディア処理 / 対話 / 非言語 |
Research Abstract |
本研究は,我々の新たに導入した有害事象説明実習と,初期診療の状況を模した医療面接実習という2つの医学生に対するコミュニケーション教育を対象とするものである.有害事象説明実習とは責任ある立場の医師が,発生した有害事象の説明を患者家族に行うという状況でのロールプレイによる教育手法で,医師に扮した学生が患者家族役の模擬患者へ説明方法について,謝罪をするか否かを含めて任せることで学生自身が有害事象について深く考えることを期している.有害事象説明実習では医師役の学生から患者家族に扮した模擬患者への情報提供が主となり,医療面接では学生が模擬患者からの情報取得が主となる.情報の流れの観点からは,これらの実習は2つの全く異なる典型的なコミュニケーションであると考えられる.本研究はこれらを対象とすることで,情報の提供,取得をどのように非言語がサポートするか,という観点から分析を行い,医療における対話型コミュニケーションの総合的な教育的知見を明らかにすることを目的としている.本年度は有害事象説明実習に関して,実習している様子をビデオカメラで撮影した映像から,学生の発話,うなずき,模擬患者を見ている区間を時系列データとして書起し,それぞれの総時間を模擬患者,および学生への質問紙の結果と比較した.その結果,・学生が困惑を感じるほど模擬患者の顔を見る時間が増える.・学生が有害事象の原因と想定されている事項について説明をしたと自覚しているときは学生のうなずきが増加する.・学生の発話が増えるほど,模擬患者は学生を誠実であると感じる.との結果が得られた.これらのことから,非言語情報はコミュニケーションを分析する有効な指標となることが示された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では有害事象説明実習と医療面接実習について,まず映像データや,その発話内容の書き起しデータをデータベース化し,データベースを用いてシステマティックに研究を進める方針である.しかしながら研究代表者が所属する研究機関を移り職務内容が変更したことから,今年度に予定していたデータベース作成を次年度に行うこととした.その代わり今年度については直接データを分析することで一定の成果を上げることが出来た.次年度に今年度予定していたものより良い計算機環境を導入してデータベースを構築することで研究のスピードアップを図る.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度についてはまず,延期したデータベースの作成を中心に行う.データベースを構築しデータの一元管理を行うとともに分析ツールを開発,充実させる.これによりデータから有効な情報を引き出し易くなり,研究の効率化を進めて行く.その後,今年度得られた非言語情報についての成果を発展させる形で医学教育での対話型コミュニケーションについての理解を深めて行く.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度はデータベースの作成を延期したために,そのための諸費用,特に書き起し作業を行うための人件費が発生しなかった.次年度については今年度実施できなかった映像データの書き起し作業の費用が発生すると共に,研究・開発をスピードアップするためのソフト面・ハード面での計算機環境の整備に予算を充当する.
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Research Products
(2 results)