2013 Fiscal Year Annual Research Report
Translocation defective逆転写酵素阻害剤に対する耐性機序
Project/Area Number |
23590636
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
芦野 有悟 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (20361082)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
児玉 栄一 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (50271151)
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Keywords | ウイルス / HIV / 薬剤耐性 |
Research Abstract |
本邦で分担研究者である児玉らのグループ(熊本大学、京都大学、ヤマサ醤油株式会社等を含む)によって開発された核酸系逆転酵素阻害4'-ethynyl-2-fluoro-2'-deoxyadenosine (EFdA)はこれまでにない逆転写酵素阻害機序としてHIV逆転写酵素translocation活性を阻害する。これまで報告のある多剤耐性変異を同時に有する高度多剤耐性HIVに対するHIVであってもEFdAは効果を示すことを明らかとした。現在、EFdAは前臨床試験が終了して今後臨床試験が開始される予定である。 このtraslocation阻害機序の詳細な解明およびにEFdAに対する耐性機序の解明のために平成23年度からEFdAに対する耐性HIVを試験管内で誘導し、そのウイルス学的解析を行った。1次変異としてM184V/Iが同定されたが、単独の変異では10倍以下の耐性しか示さず、依然AZTの野生型に対する効果よりも強力である。2次変異としてA158TやT165M/R等が同定され、これらの変異を有するリコンビナントHIVを用いて検討したが、その耐性度は30倍程度であった。同様にこれらの変異を有する酵素においても活性の低下、速度の低下が認められる一方で、耐性度の対して大きな影響を示さない点は、ウイルスの場合と一致した。ウイルスの複製能を詳細に調べたところ、耐性度と複製能は逆相関を示すことが多いが、EFdAの耐性変異の場合、耐性度をあまり獲得できないままに複製能を失う傾向にあり、耐性を獲得するにせよ、ウイルスにとってのコストがかなり大きくなることが予想された。HIV-2でも同様の耐性誘導を行い、HIV-1と類似した変異を同定した。現在、さらなる変異の組み合わせを有するHIV逆転写酵素を作製中で、この解析後に論文を投稿する予定である。
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Research Products
(2 results)