2013 Fiscal Year Annual Research Report
気象病のメカニズムと治療法に関する動物実験と臨床実験による連携研究
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23590710
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
佐藤 純 名古屋大学, 動物実験支援センター, 教授 (00235350)
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Keywords | 気象変化 / 慢性痛 / 自律神経 / 内耳前庭 |
Research Abstract |
動物実験: (1) 慢性痛モデル(坐骨神経損傷あるいは脊髄神経損傷による)と抑うつモデル(強制水泳試験による)を作製し,環境ストレスシミュレータを用いて低温曝露(23℃から13℃への冷却)を行い,曝露中の自律神経指標(血中ノルアドレナリン量)の変化を高速液体クロマトグラフィ(HPLC)で解析した.健常ラットでは低温曝露によってゆっくりとノルアドレナリンの増加が見られた.一方,坐骨神経損傷モデルでは一部の動物で急激な上昇反応がみられた.ところが同じ慢性痛モデルでも脊髄神経損傷モデルでは明らかな変化が観察されなかった.また,抑うつモデルでは反応性が著しく鈍化した.病態によって低温耐性が異なることが明らかとなった. (2) 内耳検出機構を明らかにする目的で,3種類のTRPV KOマウスに低気圧曝露(40 hPa減圧)を行い心拍数の変化を観察したところ,ある1種類のTRPV-KOマウスでは健常動物で観察された心拍数上昇反応が消失していた.マウスの気圧検出システムにある特定のTRPVチャネル が重要な役割を果たしている可能性が示された. 臨床実験: (1) 気象病のメカニズムに内耳前庭器の気圧センサーが関与しているという先行研究結果に基づき,気象病の被験者の内耳の感受性が,その他の慢性痛罹患者,健常者(対照群)と異なっているかを調べた.気象病の患者群は対照群に比べ,前庭の感受性が有意に高いことが明らかとなり,前庭刺激に対する自律神経応答においても特異な反応を示すことが明らかとなった.前庭の感受性の変化が気象病のメカニズム要因であることが示唆されることから,前庭の感受性を調整することで気象病を予防・治療できる可能性が示された.しかしながら一方で,一部の被験者においては前庭刺激がかえって症状の悪化を引き起こしたことから,装置の開発に進むためには刺激量,パターンについて更なる検討を必要とすることが分かった.
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Research Products
(7 results)