2013 Fiscal Year Annual Research Report
酪酸菌を用いたNASHの進展・発癌阻止を目指した予防法の開発
Project/Area Number |
23590755
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
渡辺 哲 東海大学, 医学部, 教授 (10129744)
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Keywords | NAFLD/NASH / 酪酸菌 / プロバイオティクス / 肝線維化 / 肝発癌 |
Research Abstract |
人のNAFLD/NASHモデルとして、コリン欠乏アミノ酸置換食(CDAA食)投与ラットを用い、脂肪肝から肝線維症、肝硬変、肝臓癌への進展過程に対するプロバイオティクスMIYAIRI 588(酪酸菌)の予防効果を検討した。前年度までの研究で、酪酸菌投与により肝での酸化ストレス抑制、エンドトキシン減少、肝脂肪沈着の抑制、インスリン抵抗性の改善、肝線維化抑制、肝腫瘍抑制が認められ、同時に肝でAMPK、AKTの活性化とともにNrf2の著明な発現増加がみられた。 今年度は、酪酸菌によるNASH進行阻止効果の機序の解明のための研究を行った。酪酸菌は自然に酪酸を産生するので、in vivoで観察された現象が酪酸菌の産生する酪酸によるものであることを明らかにする目的で、in vitroで培養ヒト肝癌細胞株HepG2を用い、酪酸添加による影響を検討した。酪酸添加により、Western blotで濃度依存性にNrf2の産生量が増し、核への蓄積がみられた。酪酸添加により、AMPK、AKTのリン酸化とともにNrf2のユビキチン化が阻害され、半減期が延長することが判明した。siRNAを用いた遺伝子発現抑制実験から、酪酸によるAMPKのリン酸化はSirtuin1のリン酸化と核移行を促し、その結果mTOR2 complexの集積とAKTのSer473のリン酸化が起こり、最終的にNrf2の発現が増加することが判明した。 酪酸によるこれらの変化が肝線維化の抑制、GST-P陽性コロニー発生の抑制につながり、最終的に肝発癌抑制がみられたものと考えられた。
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Research Products
(2 results)