2011 Fiscal Year Research-status Report
子どもの喘息・アトピー、感染症罹患への妊娠期の化学物質曝露影響の解明
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23590769
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Research Institution | Junior College, Asahikawa University |
Principal Investigator |
金澤 文子 旭川大学短期大学部, その他部局等, 教授 (90201425)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
半田 康 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, その他 (70571785)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 母子保健 / ヒト次世代影響 / 難分解性有機塩素系農薬 / 喘息 / アトピー / 感染症 |
Research Abstract |
ここ数十年の間の喘息・アレルギーの有病率の劇的な増加の背景には、室内外の空気質中の化学物質濃度増加の影響があると疑われている。本研究は、妊婦の妊娠中期と後期に得た血液中の難分解性有機塩素系農薬29物質の濃度を測定し、汚染の経年変化と17~47歳の186人の妊婦属性との関連を明らかにした。今後、難分解性有機塩素系農薬濃度と喘息、アレルギー疾患、感染症罹患との関連性を検討するための基礎的解析結果を得た。 29物質のうち21物質を検出したが、21物質のうち日本での使用実績のないMirex、Parlar-26、Parlar-50 が高頻度に検出された。検出された物質の濃度はそれぞれ高い相関性を示した。2002年から2005年にかけてp,p'-DDD, o,p'-DDE, p,p'-DDE, Parlar-26, Parlar-50の濃度が劇的に減少した(p < 0.05)。難分解性有機塩素系農薬濃度と妊婦属性との関連性は次の通りだった。過去の受胎回数が多い程、難分解性有機塩素系農薬濃度が低かった。難分解性有機塩素系農薬濃度と過去の受胎回数との関連性は、出産歴との関連性より強かった。年齢が高い程、p,p'-DDE, chlordanes 類, cis-heptachlorepoxide, β-HCH, mirexの濃度増加を認めた。妊娠前体重が多い程、dieldrin, HCB, β-HCH, Parlar-26, Parlar-50と正の相関を示した。体重との関連性はBMIとの関連性より強固であった。 本研究によって新たに得た科学的知見は、(i)使用実績のない農薬が妊婦血液から検出されたこと、(ii)2002年から2005年にかけての妊婦血液中の難分解性有機塩素系農薬濃度の有意に減少したこと、(iii)過去の妊娠回数が多い程、難分解性有機塩素系農薬濃度が低いことであった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
難分解性有機塩素系農薬の測定を主として研究を実施した。そのため、バースコホートの1歳半、3歳半の調査票データの整理と解析遺に遅れが生じた。登録時のベースライン調査データを解析し、母の特性と妊娠時初期の化学物質濃度との関連については学術論文に公表した。
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Strategy for Future Research Activity |
アトピー疾患と正の相関を示すアレルギー遺伝子 FcεRIβ鎖のプロモーター領域 +426T/Cと+654C/TのSNPを測定し、これらによる遺伝的影響を加味し、1歳半、3歳半でのアトピー性皮膚炎との化学物質濃度との関連について、統計解析する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
農薬測定用に60万円遺伝子解析用に30万円旅費10万円
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Research Products
(3 results)
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[Journal Article] The relationship between exposure to microbial volatile organic compound and allergy prevalence in single-family homes.2012
Author(s)
Araki A, Kanazawa A, Kawai T, Eitaki Y, Morimoto K, Nakayama K, Shibata E, Tanaka M, Takigawa T, Yoshimura T, Chikara H, Saijo Y, Kishi R.
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Journal Title
Sci Total Environ
Volume: 423
Pages: 18-26
Peer Reviewed
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[Journal Article] Blood persistent organochlorine pesticides in pregnant women in relation to physical and environmental variables in The Hokkaido Study on Environment and Children's Health.2012
Author(s)
Kanazawa A, Miyasita C, Okada E, Kobayashi S, Washino N, Sasaki S, Yoshioka E, Mizutani F, Chisaki Y, Saijo Y, Kishi R.
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Journal Title
Sci Total Environ.
Volume: 426
Pages: 73-82
Peer Reviewed
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