2013 Fiscal Year Research-status Report
口腔の健康と生活習慣病発生との関連に関する歯科医師・高齢者集団のコホート研究
Project/Area Number |
23590788
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
若井 建志 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50270989)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内藤 真理子 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (10378010)
川村 孝 京都大学, 環境安全保健機構健康科学センター, 教授 (10252230)
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Keywords | 口腔状態 / 歯牙喪失 / コホート研究 / 脳卒中 / 虚血性心疾患 / 肺炎 / 高血圧症 / 糖尿病 |
Research Abstract |
本年度は2つのコホート研究について、下記の検討、作業を実施した。 1.歯科医師を対象としたコホート研究 全国の歯科医師会員を対象としたコホート研究である。本年度は2013年6月までの追跡調査を行い、歯牙喪失と死亡および疾病罹患リスクとの関連を解析した。今回の分析対象は19,822名(全死亡リスク分析の場合。ベースライン時平均年齢±標準偏差 51.5±11.7歳、女性1,624名)、平均追跡期間は8.9年間である。歯牙喪失と全死亡リスクとの関連の解析では、1,009名の死亡が同定された。喪失歯数(智歯除く、以下同じ)が0-4本を1とした、5-9、10-14、15-19、20-24、25-28本のグループの多変量調整死亡ハザード比は、それぞれ1.11、1.21、1.21、1.54、1.32であり、喪失歯数25本以上で若干低下したが、ほぼ喪失歯数増加とともに死亡リスクが上昇した(trend P = 0.002)。また口腔関連QOLが、歯牙喪失とは独立に死亡リスクと関連することも示された。 さらに歯牙喪失と脳卒中、虚血性心疾患、肺炎死亡との関連の検討では、追跡期間中に脳卒中267名、虚血性心疾患182名の罹患、および肺炎死亡64名が確認された。喪失歯数が0-9本のグループを1とした、10-19、20本以上のグループのハザード比は、それぞれ脳卒中罹患で1.22、1.54、虚血性心疾患罹患で0.98、1.16、肺炎死亡で3.15、2.68となり、脳卒中罹患、肺炎死亡で喪失歯数が多い場合に危険度が高い傾向(それぞれtrend P = 0.045、0.010) がみられた。 2.高齢者を対象としたコホート研究 本年度はベースライン調査とその後の死亡や介護認定状況等のデータをリンクし、ベースライン時点の歯科所見とその後の死亡、要介護状況との関連を解析するためのデータを作成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
歯科医師を対象としたコホート研究では、コホート研究としての解析が進んでいるが、さらに論文発表が必要である。しかし高齢者を対象としたコホート研究はまだデータ整備が終了した段階であり、解析および論文作成が遅れているのが現状である。
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Strategy for Future Research Activity |
歯科医師を対象としたコホート研究については、追跡調査を継続するとともに、歯牙喪失と肺炎死亡、脳卒中・虚血性心疾患罹患との関連、歯牙喪失と全死亡との関連への栄養摂取の関与などを中心に論文作成を行う。高齢者を対象としたコホート研究では、ベースライン時点の歯科所見と5~6年後の高血圧症、糖尿病、脂質異常症などの新規発生との関連に追加し、死亡、要介護状況との関連もコホート研究として分析する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度は歯科医師を対象としたコホート研究の追跡調査において、都道府県歯科医師会訪問が必要な場合の旅費を計上したが、実際は打ち合わせのための訪問が必要なかったことが主な理由である。 本年度から繰り越した研究費については、都道府県歯科医師会訪問が必要な場合の旅費、高齢者コホートに関する打ち合わせの旅費、学会での成果発表の旅費として使用する予定である。
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Research Products
(2 results)