2014 Fiscal Year Research-status Report
口腔の健康と生活習慣病発生との関連に関する歯科医師・高齢者集団のコホート研究
Project/Area Number |
23590788
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
若井 建志 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50270989)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内藤 真理子 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (10378010)
川村 孝 京都大学, 保健管理センター, 教授 (10252230)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2016-03-31
|
Keywords | 口腔状態 / 歯牙喪失 / コホート研究 / 脳卒中 / 虚血性心疾患 / 肺炎 / 高血圧症 / 糖尿病 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は2つのコホート研究について、下記の検討、作業を実施した。 1.歯科医師を対象としたコホート研究 全国の歯科医師会員を対象としたコホート研究である。本年度は2014年3月までの追跡調査を行うとともに、新しい分析として、ベースライン時点の歯磨き回数とその後の脳卒中、虚血性心疾患のリスクとの関連を検討した。今回の分析対象は19,692名(ベースライン時平均年齢±標準偏差 51.4±11.6歳、女性1,608名)、平均追跡期間は9.4年間である。 追跡期間中に脳卒中310名、虚血性心疾患212名の罹患が確認された。歯磨き回数が1日2回のグループを1とした、1日1回以下、3回、4回以上のグループの脳卒中+虚血性心疾患の多変量調整ハザード比は、それぞれ1.00、0.86、0.73となり、歯磨き回数1日2回以上では、回数増加とともにリスクが低下した(trend P = 0.025)。リスク低下はとくに脳卒中で認められ、対応するハザード比は0.90、0.77、0.65であった(trend P = 0.042) 2.高齢者を対象としたコホート研究 愛知県日進市が65歳時(ベースライン調査)、70歳時に実施した健康診断をともに受診し、かつ65歳時点で歯科検診を受けた1,252名(糖尿病についての分析の場合、女性 623名)について、65歳時の喪失歯数と70歳時での高血圧症、糖尿病、脂質異常症の新規発生(65歳時の有病者は除外して解析)との関連を検討した。その結果、65歳時に10歯以上を喪失していた者では、喪失歯数5歯未満の者と比較して、糖尿病発生リスク(多変量調整オッズ比)は2.46(95%信頼区間 1.18-5.15)であった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
歯科医師を対象としたコホート研究では、コホート研究としての解析が進んでいるが、さらに論文発表が必要である。高齢者を対象としたコホート研究についても、コホート研究データの解析を開始できたが、なお予備的な検討であり、さらにデータ解析、論文作成が必要である。
|
Strategy for Future Research Activity |
歯科医師を対象としたコホート研究については、追跡調査の残りを実施するとともに、歯牙喪失と肺炎死亡、全死亡、脳卒中・虚血性心疾患罹患との関連、歯磨き回数と脳卒中・虚血性心疾患罹患との関連を中心に論文作成を行う。高齢者を対象としたコホート研究では、ベースライン時点の歯科所見と高血圧症、糖尿病、脂質異常症などの新規発生との関連をさらに解析する。
|
Causes of Carryover |
歯科医師集団のコホート研究について、平成26年度に都道府県歯科医師会に最終の追跡調査を依頼し、調査データを解析、学会発表・論文発表を行う予定であった。しかし都道府県歯科医師会の一部で、他に優先すべき事業のために追跡調査に遅れを生じ、調査データの解析が行えず、未使用額が生じた。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
このため、歯科医師集団のコホート研究について、追跡調査データの解析と学会発表・論文発表を今年度に行うこととし、未使用額はその経費に充てることとしたい。
|
Research Products
(2 results)