2012 Fiscal Year Research-status Report
MRP4遺伝子多型解析による炎症性腸疾患に対するテーラーメイド免疫療法の構築
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23590936
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
伴 宏充 滋賀医科大学, 医学部, 特任助教 (30598363)
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Keywords | 炎症性腸疾患 |
Research Abstract |
平成23年度、平成24年度でMRP4、TPMT、ITPase の3 遺伝子におけるSNPsの同時解析法の開発にあたった。短時間に多数の臨床検体からサンプルDNAを抽出するため、DNA 抽出キットの有用性について基礎検討を加えた結果、最も安定して採取が可能であったQIAamp DNA Blood Mini Kit (Qiagen, 51106)を使用することとした。 SNP 解析法はLight Cycler 480 (Roche)を使用したApplied Biosystems社のTaqMan probe法(TaqMan SNP Genotyping Assays)について検討を行った。今年度収集した潰瘍性大腸炎・クローン病患者および健常者ボランティア合計279人のサンプルDNAにおいて、3遺伝子のSNPをTaqMan probe法と従来のDirect sequence法の双方で検討を行った。MRP4 G2269A SNPはG/Aが68名、A/Aが7名でアリル頻度は14.7%であった。TPMT A719G SNPはA/Gが5名、G/Gが0名でアリル頻度は0.9%であった。ITPA C94A SNPはC/Aが61名、A/Aが6名でアリル頻度は13.1%であった。いずれもHapMapの結果と大差なく、TaqMan probe法とDirect sequence法では相違がなかった。 以上の結果より、TaqMan SNP Genotyping Assaysを使用したTaqMan probe法は迅速なSNP解析に有用であることが明らかであり、引き続き症例数を増やして解析することとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
短時間に多数の臨床検体からサンプルDNA を抽出するためのDNA 抽出キットについての基礎検討は完了しており、また、MRP4、TPMT、ITPase の3遺伝子のSNPを迅速に解析するTaqMan probe法の確立は完成している。 現在、チオプリン製剤ナイーブ症例に対して前向き調査を進めているが症例数が予定よりやや不足している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度も、確立したTaqMan probe法により炎症性腸疾患患者におけるSNPs解析に基づいたチオプリン製剤投与のテーラーメイド化の臨床的基礎検討をすすめる。 第一は、チオプリン製剤ナイーブ症例を対象として、MRP4 遺伝子SNP を中心とした遺伝背景とチオプリン投与量、治療効果、白血球数の推移、副作用出現率、血中6-TGNs 濃度を前向きに調査し、関連を明らかにする。チオプリン投与前にSNPs 検索を行うと同時に、厚労省の難治性炎症性腸管障害調査研究班が示している炎症性腸疾患患者に対するチオプリン製剤の投与量に準じてチオプリン製剤の投与を開始する(イムラン50mg/日、もしくはロイケリン30mg/日)。しかし、TPMT遺伝子SNP 症例は、数パーセントの確率で存在するが、副作用が必発するので投与しない。 潰瘍性大腸炎については、投与前と投与1 ヶ月、2 ヶ月、3 ヶ月、6 ヶ月後の臨床症状について以下に示すSeo’s index を用いて評価する。内視鏡的な治療効果の判定は、投与前と2 ヶ月後の下部内視鏡検査により厚労省研究班の重症度分類に従って行う。白血球数、6-TGN 濃度を含めた臨床検査値は、投与前、投与2 週、4 週、6 週、8 週目に行う。クローン病については、Crohn’s disease activity index(CDAI) による臨床活動度による評価を用いる。これらについて、SNPs の結果との統計学的解析を加え、至適投与量、副作用発現予測の基礎データを得る。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
基礎検討の結果より、TaqMan SNP Genotyping AssaysのprobeはTPMT A719G(rs1142345)はAssay ID: C_19567_20を、MRP4 G2269A (rs3765534)はAssay ID: C_27478235_20を、ITPase C94A (rs1127354)はAssay ID: C_27465000_10のprobeを購入し、引き続き症例数を増やして解析することとした。
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