2011 Fiscal Year Research-status Report
虚血性心疾患にともなう致死性不整脈発症の遺伝的基盤についての検討
Project/Area Number |
23591030
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
中島 忠 群馬大学, 医学部, 助教 (40510574)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
倉林 正彦 群馬大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00215047)
金古 善明 群馬大学, 医学部, 講師 (60302478)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 虚血性心疾患 / 致死性不整脈 / 遺伝子多型 |
Research Abstract |
急性心筋梗塞/虚血発症急性期に心室細動が重積した症例 6例において、SCN5A遺伝子の解析を行った。しかしながら、SCN5A変異は同定されなかった。一方、急性心筋梗塞/虚血の亜急性期に過度のQT延長をきたし、多型性心室頻拍(torsades de pointes: TdP)を発症した症例(post myocardial infarction (MI)/ischemia-associated TdP) 3例において、KCNQ1, KCNH2, KCNE1, KCNE2遺伝子の解析行った。その結果、QT延長症候群をきたす変異は同定されなかったが、2例においてKCNQ1 G643S多型を同定した。KCNQ1 G643S多型のアレル頻度は人種により異なり、アジア人では約10%認めるが、欧米人ではほとんど0%である。この多型は、徐脈や低カリウム血症などのQT延長の助長因子存在時にはTdP発症リスクを上昇させるとされているが、さらに、アジア人におけるpost MI/ischemia-associated TdP発症の遺伝的基盤である可能性がある。最近、post MI/ischemia-associated TdPを発症した欧米人13例中9例にKCNH2 K897Tを認めたことが報告され、KCNH2 K897Tとpost MI/ischemia-associated TdP発症の関連が示唆されている。KCNH2 K897T多型のアレル頻度も人種により異なり、欧米人で35%程度認めるが、アジア人を含む他人種では数%しか認めないことから、post MI/ischemia-associated TdP発症の遺伝的基盤は人種により異なることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
急性心筋梗塞/虚血発症急性期の心室細動の重積や、post MI/ischemia-associated TdPは稀な疾患であり、症例数の集積に苦慮しているため。また、研究代表者は、本プロジェクト以外に、不整脈源性右室心筋症患者の遺伝子解析も行っており、予想外に時間を多くとられてしまったため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も当施設及び当施設の関連施設に、急性心筋梗塞/虚血発症急性期に心室細動が重積した症例と、亜急性期に過度のQT延長をきたしpost MI/ischemia-associated TdPを発症した症例の集積の依頼を継続する。不整脈源性右室心筋症の遺伝子解析プロジェクトが一段落したため、今後、本プロジェクトに多くの時間を費やすことができる。遺伝子解析のスピードアップをはかり、急性心筋梗塞/虚血急性期に生じる致死性不整脈の発症と関連する遺伝子多型を同定し、さらに、その機能解析を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成23年度から継続して、急性心筋梗塞/虚血発症急性期に心室細動が重積した症例、亜急性期に過度のQT延長をきたしpost MI/ischemia-associated TdPを発症した症例の遺伝子解析を継続する予定である。患者末梢血からgenomeを抽出するKitとしてQIAamp DNA Blood Midi Kit、PCR産物を精製するKitとしてQIAquick PCR Purification Kit、シークエンス反応KitとしてBigDye terminator v1.1 Cycle Sequencing Kit等、購入予定である。研究費を当初の予定通り執行した結果端数が生じたが、その端数については平成24年度予算とあわせて使用する予定である。
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