2011 Fiscal Year Research-status Report
Densitometryを用いた肺胞蛋白症における高分解能CT所見の意義
Project/Area Number |
23591160
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
石井 晴之 杏林大学, 医学部, 講師 (30406970)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中田 光 新潟大学, 医歯学総合病院, 教授 (80207802)
田澤 立之 新潟大学, 医歯学総合病院, 講師 (70301041)
似鳥 俊明 杏林大学, 医学部, 教授 (80137512)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 肺胞蛋白症 / densitometry / 肺野濃度 |
Research Abstract |
本研究の目的は、肺胞蛋白症の高分解能CT所見をdensitometryによる肺野濃度測定で客観的に検討することである。このdensitometryは画像読影者の主観的な評価ではなく客観的な評価が期待できる。しかし肺全体の評価や肺野濃度の測定値による診断学的な意義は不明であり、densitometryによる肺野濃度測定の臨床的応用を明確にする重要性は高い。 平成23年度はdensitometryによる肺野濃度の最適測定条件の設定が課題であった。肺胞蛋白症3例(軽症、中等症、重症)にて検討し、結果として以下の結果が明らかとなった。第一の成果として東芝メディカルシステムズAquilion 64を用いて管電圧120kvp、管電流(Auto mA制御SD12) 0.5s/rot、スライス厚1mm、再構成間隔0.8mm、再構成関数FC13にて解析画像処理することが適正な条件であること、そして第二の成果としては画像解析するためのワークステーションとしてAZE社のvirtual place雷電Plusが応用可能となることが明確化した。この撮影条件にてdensitometryによる肺全体の肺野濃度測定をすると肺胞蛋白症の重症化に伴い肺野濃度平均値は高値を示した(軽症例:-834±120、中等症:-684±169、重症:-669±168)。そして肺内容積もそれぞれ4360, 3505, 2127mlと減少傾向を示すことも明らかとなり評価可能な条件である確認ができた。また3次元画像解析を行うことにより、重症化による容積減少が視覚的に評価することも可能になった。 上記の結果をもとに、次年度は更に症例集積による再現性を確認する。また平成23年度に評価した症例の経時的変化や肺胞蛋白症以外のびまん性肺疾患との比較を進めていき、densitometryによる肺野濃度測定の臨床的意義を明確化していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度の研究計画は(1)肺胞蛋白症における肺全体の肺野濃度をdensitometryにて測定する適正基準の検討と(2)測定した肺野濃度と臨床情報との相関性の検討であった。計画(1)は肺胞蛋白症の重症度別(軽症、中等症、重症)に3例を対象として検討し、十分な結果が得られた。現時点ではdensitometry測定での適正基準は明確にできたが、その測定情報は3例のみであり更に症例集積して評価する必要性がある。計画(2)に関しては3例分の臨床情報のみなので相関を評価することは現時点では困難である。しかし今回のdensitometryにて測定した肺野濃度の統計量は肺胞蛋白症の重症度や三次元構築した画像所見と対応している傾向があり、次年度に最優先して検討する課題と考えている。 研究計画が一部達成できなかった理由としては、densitometryでの適正測定基準に十分な評価時間を要したためである。今後は決定した測定方法に基づき、新たに多くの症例を検討していくことは問題なく進められると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度(初年度)の研究計画では、本研究において最も重要なdensitometryの適正測定基準の設定に十分な時間を費やした。そのため設定した条件で情報収集できた症例数は平成23年度内においては十分ではなかったが、次年度には対応できる内容である。肺胞蛋白症が稀少肺疾患であり症例数の確保が問題となるが以下の対応策により研究を進めていくことを考えている。第一に分担研究者である中田より肺胞蛋白症のデータ管理をもつJapanese Center of Rare Lung Diseases Consortiumから情報収集を進めることで症例の集積は可能である。第二に平成23年度にdensitometry測定した症例の経時的変化を検討するため次年度に同症例の再評価をすることで情報集積できる。そして第三に肺胞蛋白症以外のびまん性肺疾患でのdensitometryによる肺野濃度測定を行い肺胞蛋白症との対比する情報を集積していくことを計画している。 上記した対応策により集積した情報により次年度はdensitometryにて測定した肺野濃度の臨床的意義を検討していく必要性がある。その検討課題としては(1)横断的評価として測定時点での臨床データ(肺機能、血清マーカー、血液ガスなど)との相関性、そして(2)経時的評価としてdensitometry測定値と臨床情報との変動・推移を挙げる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の研究計画として最も重要なのはdensitometry測定する症例集積とそのデータ解析である。まず症例集積のためにJapanese Center of Rare Lung Diseases Consortiumとの会議を行う。東京および新潟で各1回開催するため交通費および会議費として代表者および各研究分担者・協力者に研究費を配分する。またデータ解析のための統計ソフトウェアの購入費を要する。平成23年度の結果をもとに次年度の情報集積により成果を学会発表および論文化へとつなげるため国内外での学術会への参加経費を要する。・統計解析ソフトウェア 300,000円・会議経費(Japanese Center of Rare Lung Diseases Consortiumとの会議(2回開催)、本研究班での会議(3回開催)を含む)として交通費、会議資料作成費など 500,000円・学術会への参加・論文化への経費 500,000円・消耗品費 100,000円
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Research Products
(5 results)