2012 Fiscal Year Research-status Report
腎虚血再灌流障害におけるギャップ結合を介した細胞間コミュニケーションの役割
Project/Area Number |
23591187
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
姚 建 山梨大学, 医学工学総合研究部, 准教授 (50303128)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北村 正敬 山梨大学, 医学工学総合研究部, 教授 (90333062)
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Keywords | 病理学 / 腎臓 / 虚血 / 炎症 / 細胞死 / ギャップ結合 / 酸化ストレス / connexin43 |
Research Abstract |
虚血障害に続発する急性腎不全は、医学療法が飛躍的に進歩したにもかかわらず、死亡率および罹病率があいかわらず高いままであり 、臨床上の大きな問題となっている。腎虚血再灌流障害の病態には、様々なメディエーターや接着分子を介した複雑な細胞間相互作用 が寄与することが知られている。しかし、隣接する細胞間においてシグナル分子の直接的な遣り取りを司るギャップ結合の腎組織障害における役割は、まだ十分に解明されていない。本研究の目的は、腎虚血再灌流による急性尿細管懐死発症におけるギャップ結合の役割を解析する事である。 今年度は、近位尿細管上皮細胞由来NRK-52EとLLC-PK1細胞株を用いて、細胞虚血障害モデルにおけるギャップ結合の作用機構を解析した。その結果:1、虚血刺激によって、尿細管上皮細胞のコネクシンhemiチャネルが活性化され、細胞内ATPが細胞外へ流失することを観察した;2、細胞外放出されたATPは、purinergic receptorを介してPI3K/AKT/mTOR情報伝達経路を惹起し、AMPK kinaseの活性化を抑制することを初めて明らかにした;3、ギャップ結合hemichannelの機能を阻害することで、ATP流失を阻止し、AMPKの活性を高め、虚血による細胞障害が抑えられた。以上の結果から、ギャップ結合hemichannelは虚血による尿細管細胞傷害に深く関与していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究は計画通り進んでいる。今回の研究結果から、虚血刺激によって、腎尿細管細胞のCx hemichannelが活性化され、細胞内ATPが細胞外へ流失し、結果として細胞障害を促進することが明らかになった。従って、hemichannelを阻害する治療戦略は、虚血性細胞障害を防ぐことが示唆される。
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Strategy for Future Research Activity |
今後以下の方向で研究して行きたい。 1、腎尿細管細胞死及び炎症反応におけるhemichanne由来の細胞外ATPの役割及び作用機構の解明; 2、Hemichannelを標的とした治療薬の探索。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究費は主に以下の面で使用する予定です。 1、研究の面では、炎症指標の確立、ATPの作用機構の解析及びhemichannelを標的とした虚血性尿細管障害の治療方法の探索を中心的に行う予定です。 2、研究成果の発表:国際学会等において研究成果発表を行うための旅費及び学会参加費、国際誌への論文投稿料及び印刷料。
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