2011 Fiscal Year Research-status Report
抗NMDAR脳炎における病的自己抗原提示細胞の検索研究
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23591238
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
池田 修一 信州大学, 医学部, 教授 (60135134)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 幸利 独立行政法人国立病院機構静岡てんかん・神経医療センター, 臨床研究部, 部長 (70262764)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 非ヘルペス性脳炎 / 辺縁系脳炎 / 自己免疫性脳炎 / 卵巣奇形腫 |
Research Abstract |
平成23年度は抗NMDAR脳炎患者から摘出した卵巣奇形腫21例(平均年齢23.7歳)と非脳炎患者10例(平均年齢21.6歳)の卵巣奇形腫を対象にglial fibrillary acidic protein (GFAP) で免疫染色される神経組織の含有面積をコンピューター解析した。その結果、同腫瘍に占める神経組織の割合は4.7~31.2%と個々の例でばらつきが大きかったが、この割合は両群間で差がなかった。次に卵巣奇形腫における炎症細胞浸潤の程度を軽度、中等度、高度の3段階で評価し、また浸潤単核細胞をCD3, 20, 45RO抗原で免疫染色して、リンパ球のサブグループの検索も行った。炎症細胞浸潤の陽性率は脳炎合併例で71.4%、非脳炎合併例で70.0%と両群間に差がなく、またその程度にも違いはなかった。さらにリンパ球の表面抗原の解析からも、両群における浸潤炎症細胞において、T細胞、B細胞、memory T細胞のいずれの細胞においてもその優位性は見出せなかった。 正常卵巣におけるNMDAR抗原の検索としては、3~5歳で死亡したウシ5頭の卵巣を免疫組織化学的に検索して、全例の卵胞細胞(特に原始卵細胞)の細胞質にNR2B抗原の発現があることが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
卵巣奇形腫は抗NMDAR脳炎患者から摘出した同腫瘍21例と対照とする非脳炎患者から摘出した同腫瘍20例が収集できており、同腫瘍に含まれる神経組織ならび炎症細胞浸潤の検索は予定どおり進んでいる。またヒトの正常卵巣組織ならび卵細胞を研究対象とすることは倫理的側面から困難であるため、ウシの同組織を対象に選んだ。今年度入手したウシの卵巣組織においても既にヒトの組織で見出されているNR2B抗原の発現を確認することができ、今後の卵細胞を用いたNMDAR関連蛋白の生化学的分析はウシの体外受精用の卵細胞を用いて行う方針が確立できた。後者については長野県の畜産試験場から不要となったウシの体外受精用の卵細胞を上記の研究目的で入手できる予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の重要課題は抗NMDAR脳炎が何故女性のみに発生するかを解き明かすことである。我々は仮説として女性の卵巣組織、特に卵細胞にNMDAR関連抗原が含まれており、何らかの炎症機序でこの抗原提示が起こり、抗NMDAR抗体の産生、次いで抗NMDAR脳炎が発生すると考えている。今回、ウシの体外受精用の卵細胞を生きた状態で入手することが可能となり、in vivo の細胞を用いて蛋白化学的検索が出来ることは本研究の大きな推進力になることが期待される。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究費の大部分は試薬品代として使用する。研究試薬はヒト卵巣奇形腫の免疫組織化学的検索とウシの卵細胞からNMDAR関連蛋白を回収、精製、電気泳動ならびに免疫化学的反応を行うために使用する。尚、平成23年度には当初計画時よりも研究試薬を安価で購入できたため、次年度使用額が生じた。
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Research Products
(5 results)