2012 Fiscal Year Research-status Report
骨髄腫骨髄微小環境がもたらす腫瘍進展と骨病変形成機序の解明と新規治療法の開発
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23591390
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
安倍 正博 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 准教授 (80263812)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
遠藤 逸朗 徳島大学, 大学病院, 講師 (10432759)
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Keywords | 骨髄腫 / 骨病変 / 骨芽細胞 / 薬剤耐性 |
Research Abstract |
Pim-2は抗アポトーシスシグナルの重要な媒介因子として骨髄腫細胞に高発現しているが病変部骨髄微小環境に豊富に存在する骨髄間質細胞や破骨細胞によりその発現がさらに亢進することがわかった。破骨細胞および間質細胞との共存下でPim-2 siRNAやPim-2阻害薬(Z)-5-(4-Propoxybenzylidene) thiazolidine-2,4–dione (Calbiochemより購入)処理による骨髄腫細胞の生存への影響を検討した。このPim-2を介する生存シグナル経路は既知のPI3K/Akt経路などと全く独立した経路であり、従来の抗腫瘍薬が標的にできず治療抵抗性の原因因子となっていること、またPim阻害薬により骨髄腫細胞に著明な細胞死が誘導され、Pim-2を治療標的とすることの有用性と必要性を我々は見出した。 さらに、骨髄腫細胞との相互作用により骨髄間質細胞からの骨芽細胞分化が抑制されるが、この時同時に骨髄間質細胞にもPim-2が発現誘導されること、またPim-2の発現を抑制すると骨髄腫細胞の共存下でも骨髄間質細胞からの骨芽細胞分化が回復することを見出し、Pim-2が骨髄腫の骨形成抑制因子として作用していることを明らかにした。 これらの検討から、Pimキナーゼの抑制は、骨髄微小環境がもたらす腫瘍進展や薬剤耐性獲得を抑制するとともにこれまでの治療では回復が見込めなかった骨喪失病変部に骨形成をもたらす可能性があり、骨髄腫病変部に発現が亢進しているPim-2は骨髄腫の治療において極めて重要な新規治療標的分子と考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
培養実験等で結果が確認出来ておりおおむね順調に進んでいる。Pim-2が抗アポトーシスシグナルの重要な媒介因子として作用していることは明らかになったが、骨髄腫細胞の抗癌剤への耐性へのPim-2の関わりやPim-2の抑制による薬剤耐性の克服法の開発が今後の課題である。
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Strategy for Future Research Activity |
多発性骨髄腫や骨転移癌の重要な臨床課題として残されている治療抵抗性の克服と骨病変部の骨形成回復をもたらす新規治療法の開発のため、これまでの我々のPim-2キナーゼに関する研究成果を基盤とし以下の点を明らかにする。 1) Pim-2阻害の薬剤耐性克服の機序の解明:薬剤耐性骨髄腫細胞に発現する薬物排出ポンプの機能に及ぼす影響や腫瘍細胞の自己複製能やside population 分画の割合などへの影響についても検討し、Pim-2阻害が骨髄腫幹細胞様の前駆細胞にも有効であることを示す。 2) Pim阻害の骨髄腫動物モデルでの抗腫瘍と骨破壊抑制効果の検討 3) Pim阻害薬(SMI-16a)をリード薬とし構造変換よるSMI-16aの誘導体の作成と新規誘導体の活性と利便性や安全性の評価:現在入手可能なPim阻害薬SMI-16aはすぐれた効果を発揮するものの難溶性である。SMI-16aは2,4-チアゾリジンジオン構造を持つ化合物であり、Pim阻害活性に影響せずベンゼン環上の置換基の構造変換が可能であること、またフェノール性水酸基を導入することにより水溶性が向上させられることなどが判った。そこで、SMI-16aの構造変換を行いその活性、性状を評価し、Pim-2の阻害活性と溶解性がすぐれ、薬剤として治療上の利便性と有効性の高い化合物を創出する。新規に作成されたSMI-16a誘導体の有用性が培養系、動物モデルで確認する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
試薬類に800,000円、海外での学会発表に300,000円使用予定である。
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Research Products
(11 results)
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[Journal Article] Up-regulation of hexokinaseII in myeloma cells: targeting myeloma cells with 3-bromopyruvate2012
Author(s)
Nakano A, Miki H, Nakamura S, Harada T, Oda A, Amou H, Fujii S, Kagawa K, Takeuchi K, Ozaki 5, Matsumoto T, Abe M
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Journal Title
J Bioenerg Biomembr
Volume: 44
Pages: 31-38
DOI
Peer Reviewed
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