2012 Fiscal Year Research-status Report
AIRE遺伝子導入NODマウスにおける糖尿病抑制機構の解析
Project/Area Number |
23591437
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
西嶋 仁 徳島大学, 疾患酵素学研究センター, 助教 (60425410)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 満 徳島大学, 疾患酵素学研究センター, 教授 (60221595)
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Keywords | 糖尿病 / 自己免疫 |
Research Abstract |
AIRE欠損が自己免疫疾患の発症をもたらすならば、逆にAIREの過剰発現が自己免疫疾患の病態修復に働く可能性を検討したいと考えている。すなわち、I型糖尿病のモデルマウスであるNODマウス受精卵にヒトAIRE遺伝子を導入し、AIREの過剰発現によって糖尿病の発症が阻止できるか否かを検討中である。AIRE遺伝子本来の発現組織である胸腺髄質上皮細胞(mTEC)で十分な発現が得られることを期待してプロモーターを選択した。現在までに複数ライン のAIRE-Tg/NODを樹立し、糖尿病の発症状況について観察を継続している。残念ながら、これまでに解析したラインの中では、mTEC依存的に糖尿病の発症が阻止できたラインは存在しない。それに先立ち、導入したAIRE遺伝子の発現レベルが十分であるか否かを検討する目的で、AIRE欠損NODマウスとの交配を行った。すなわち、AIRE欠損NODマウスでは臓器特異性の変化から膵ラ氏島病変にかわり膵腺房細胞の完全破壊を認めるが、AIRE-Tg/AIRE欠損NODマウスでは膵腺房炎が消退することを確認した。すなわち、まだ解析した個体の数は少数であるが、AIRE欠損NODマウスでは激しい自己免疫病態によって生後20週齢を超えて生存する個体は存在しないが、AIRE-Tg/NOD との交配によって、いわゆるAIREをtransgenic backさせたAIRE-Tg/AIRE欠損NODマ ウスの生存期間は通常のNODマウスと同等であり、病理組織学的にも元のAIRE欠損NODマ ウスの病変は改善されていた。糖尿病の発症病態とAIRE機能との関連性について解析を継続中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
AIRE-Tg/NODを用いた免疫病理学的な解析の取り組みは、申請者の研究室では既に手技的に確立されており、解析に必要となる設備機器も整っている。
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Strategy for Future Research Activity |
糖尿病発症阻止に働く細胞種の特定とそのメカニズムの解明を中心に研究を進める。特に糖尿病阻止作用が、導入遺伝子による内在ゲノム遺伝子の破壊によるものでないことの確認は慎重を要する。複数ラインについて、糖尿病の阻止効果を検討する必要があるが、その際に病理学的な変化を併せて解析する必要がある。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
樹立したマウスは、全て徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部附属動物実験施設のSPF環境下で飼育しており 、係る費用を拠出する必要がある。ヒトAIRE蛋白に対する免疫沈降用抗体については、当研究室で作製したウサギポリクローナル抗体 およびマウスモノクローナル抗体を所有しているが、十分量を確保すべく追加作製を行う必要がる。他方、本研究課題を遂行するための研究設備は整備されているので、研究費の大半は消耗品費として使用する予定である。得られた研究成果については学会発表を行うため 、係る旅費を計上する。また、国際紙に誌上発表するための費用についても計上しておく。
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