2012 Fiscal Year Research-status Report
VEGFRチロシンキナーゼ阻害薬スニチニブ,ソラフェニブの関節炎抑制効果の検討
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23591448
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
黒坂 大太郎 東京慈恵会医科大学, 医学部, 准教授 (10277030)
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Keywords | コラーゲン誘導性関節炎 / スニチニブ / 血管新生 / 滑膜炎 / 骨密度 / 炎症性サイトカイン |
Research Abstract |
関節リウマチの関節炎滑膜組織内には新生血管が密に増生している.そこで血管新生阻害薬が新しい関節リウマチの治療薬となり得るかを調査するため,血管新生関連因子であるVEGFやPDGFの受容体チロシンキナーゼ阻害作用を持つsunitinibをコラーゲン誘導性関 節炎モデルマウスへ投与する実験を主に行った. sunitinibの連日経腹腔投与により,関節炎の発症が用量依存性に抑制されることが証明された.投与中断後の関節炎進展を抑制することはできなかったが,関節炎進展中の投与開始にて,その後の関節炎進展を抑制することができた.病理組織学的にも,炎症細胞浸潤やパンヌス形成などの関節炎所見は用量依存性に抑制されていた.また関節組織中のinterleukin-6やinterleukin-1betaのmRNA発現量も同様に抑制された.骨密度と滑膜血管密度に関してはsunitinib投与量が低用量か高用量かにかかわらず,正常コントロールと同等の水準を維持できていた.このことより,sunitinibは関節炎抑制作用のうちでも特に滑膜血管新生と骨破壊の抑制効果が強い可能性が示唆された. 既存の関節リウマチ治療はいずれも殆どが,免疫抑制効果や抗炎症効果を目的としたものだが,血管新生阻害療法はそれらと作用点が異なると考えられるため,多剤抵抗例や,併用療法への効果が期待される.sunitinibも,新たな関節リウマチ治療薬として使用で きる可能性がある. この結果は,昨年度の欧州リウマチ学会(EULAR),日本リウマチ学会,日本炎症再生学会で発表した.また,近日Modern Rheumatology誌に掲載予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
sunitinibに関しては,交付申請書に記載した進捗予定の内容については一定の結果を得ており,学会発表や論文化も完了している.ただし,もうひとつ予定していたsorafenibを用いた実験は,試薬調製が難しく,試しに経口投与や腹腔投与を試したが明確な結果を得られず,現在事実上実験保留状態となっている.
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Strategy for Future Research Activity |
sunitinibに関しては,受容体型チロシンキナーゼのチロシンリン酸化の比較解析等,さらなるメカニズムの解明を進めていく予定である.sorafenibに関しては調製方法をもう一度見直し,実験再開を再検討する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
関節炎誘導用マウス・ウシII型コラーゲン・アジュバント,ヒト滑膜細胞(健常人由来,関節リウマチ患者由来)・ヒト臍帯血管内皮細胞とその培養液や添加試薬,蛋白発現解析用の抗体・発色系試薬・あるいはELISAキット,RT-PCR・リアルタイムPCR用の試薬(プラ イマーなど),その他消耗品を主に購入予定としている.
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Research Products
(4 results)