2011 Fiscal Year Research-status Report
ビタミンD欠乏症の発症リスクに関する網羅的遺伝子解析
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23591489
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
北中 幸子 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (30431638)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
磯島 豪 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (00568230)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | ビタミンD欠乏症 / くる病 / 疾患感受性遺伝子 / ゲノム / 遺伝子多型 |
Research Abstract |
小児期のビタミンDが不足すると、乳児けいれん、O脚、低身長、発達障害などを呈するビタミンD欠乏症を発症する。近年世界的にビタミンD欠乏症が増加していることが注目され、その原因は、主に紫外線不足や栄養など環境因子によると考えられている。我々は本疾患発症には遺伝性素因の関与もあると考え、ビタミンD欠乏症の疾患感受性遺伝子の同定を試みている。全国からビタミンD欠乏性くる病と診断された症例の集積を行い、ゲノムワイド関連解析により血中ビタミンD濃度との関連が報告された遺伝子多型について解析を行った。正常対照と比較して解析した結果、ビタミンD受容体、ビタミンD結合蛋白、NAD合成酵素の多型に有意差がみられた。ビタミンD受容体については、有意差のあった多型が隣接しており、ハプロタイプでの解析を行った。その結果、4つの多型のハプロタイプを用いると、特定のハプロタイプには、オッズ比5.6(95%信頼限界1.92-16.40)のリスクがあることがわかった。さらに、これらの多型の有無と臨床症状の関連性を検討した。発症年齢、環境要因の数、血中カルシウム濃度、血中25(OH)D 濃度, 血中1,25-dihydroxyvitamin D 濃度について検討を行ったが、いずれも有意差は認められなかった。今回用いた対象が低年齢児のみで疾患群の中でも均一な集団であったため、差が出なかったものと考えられた。このように、ビタミンD欠乏症の発症には、ビタミンD結合蛋白等による血中ビタミンD濃度の低下に加え、ビタミンD受容体の多型が、欠乏による影響を受けやすい体質を生じていることが予想された。今後は、他集団での解析や、このような多型を有する群に実際に欠乏症が発症しやすいか検討が必要と考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
多型解析を施行し、統計解析で有意差を認め、論文を投稿した。
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Strategy for Future Research Activity |
1. ビタミンD欠乏性くる病の症例および正常対照の集積:前年度にひきつづき、症例及び正常対照の検体の集積を行う。2. 骨代謝関連遺伝子の全遺伝子配列解析:全遺伝子配列解析において、変異が同定された際には、その機能解析を行う。遺伝子多型がアミノ酸コード領域内にある場合は、その遺伝子機能を発現実験などにより転写活性解析、酵素活性解析、受容体機能解析、細胞機能解析を行う。イントロンや発現調節領域にある場合には、転写や翻訳への影響を解析する。3. 全ゲノムアプローチによる解析:全ゲノムアプローチによるSNP解析を行う。全ゲノムでは有意差が得られない場合は、骨代謝およびビタミンD関連遺伝子に着目して解析を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究補助者の人件費、ゲノム解析のための物品試薬費、研究発表のための費用と旅費に使用予定。
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Research Products
(12 results)