2011 Fiscal Year Research-status Report
エクソンスキッピング誘導効率を規定するシス因子の解明
Project/Area Number |
23591496
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
八木 麻理子 神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (60362787)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹島 泰弘 神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 特命教授 (40281141)
粟野 宏之 神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 特命助教 (30437470)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 国際情報交流 |
Research Abstract |
平成23年度の研究では、ジストロフィン遺伝子エクソン46~51の欠失変異を有するDMD患者3例のゲノムについて、PCR法ならびに直接シーケンス法を用いて、欠失断端の解析を行った。その結果、欠失するイントロン領域は、5’端(イントロン45(33kb)内)では最大約26kb、3’端(イントロン51(44kb)内)では最大約14kbの差があることが明らかになった。また、エクソン45を標的としたアンチセンスオリゴヌクレオチドによるエクソンスキッピング療法の対象となる、他の5種類の欠失変異(エクソン44、46~47、46~48、46~49、46~53欠失)についても、エクソンスキッピング誘導効率の検討を行った。各欠失変異を有するDMD患者由来の筋培養細胞に、アンチセンスオリゴヌクレオチドを導入して検討した結果、エクソン46~49欠失変異を有する2例において、一方はほぼ100%のスキッピング誘導効率であったのに対し、他方は40%に満たないスキッピング誘導効率であることが判明した。エクソン46~51欠失変異だけでなく、他の欠失変異にも、同一変異でエクソンスキッピング誘導効率が異なるものが存在することが明らかになった。以上の結果より、同じ欠失変異であっても、症例によってエクソン45のスキッピング誘導効率が異なるという現象が、少なくとも2種類の欠失変異で認められ、少なくともエクソン46~51欠失変異例では、3例すべてでその欠失断端が異なることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初、欠失断端の解析はアレイCGHを用いて実施する予定としていたが、PCR法および直接シーケンス法を用いて行った、そのため、欠失断端解析に、当初の予定よりも長い期間を要した。一方、エクソン45を標的としたエクソンスキッピング療法の対象となる、他の欠失変異例について、それぞれ患者由来の筋培養細胞を用いて、スキッピング誘導効率を検討した。その結果、エクソン46~51欠失変異以外にも、同じ変異にも関わらずエクソンスキッピング誘導効率が異なる変異が存在することを明らかにした。同定した断端配列内に位置する、ISE、ISS、noncoding RNA配列の検索はまだ十分に行えておらず、進捗状況はやや遅れていると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
当初、欠失断端の解析はアレイCGHを用いて実施する予定としていたが、PCR法および直接シーケンス法を用いて行ったことから、アレイCGH解析費用として計上していた予算分を次年度に繰り越すこととなった。平成24年度は、まず、平成23年度に予定していたが完了できなかった、エクソン46~51欠失変異症例において同定した欠失するイントロン領域内に位置する、ISE、ISS、noncoding RNA配列の検索を実施し、共通する、あるいは、共通しないISE、ISS、non-coding RNAを明らかにする。次に、DMD患者由来、あるいは、健常者由来の筋培養細胞を用い、同定したスプライソソームを標的として、ベクターによる強制発現、あるいは、siRNAを用いた発現抑制を行い、さらに、エクソン45を標的としたアンチセンスオリゴヌクレオチドを導入し、エクソンスキッピング効率の変化を比較検討する。平成23年度より繰り越した研究費を使用して、エクソン46~49欠失変異例2例についての欠失断端を同定し、欠失するイントロン領域内に位置する、ISE、ISS、noncoding RNA配列の検索を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
筋培養細胞を用いて、同定したISE、ISSに結合するスプライソソームや、non-coding RNAのエクソンスキッピングに及ぼす効果を検討し、その機序を解明するために、RNA抽出試薬やプライマー、siRNA、real-time PCR用試薬、細胞培養用試薬を計上する。また、エクソンスキッピング誘導効率が異なることを明らかにした、エクソン46~49欠失変異2例についても、その欠失断端の同定を予定しており、そのために、PCR用試薬やシーケンス用試薬を計上する。さらに、その成果を世界へ周知させるために、国内および国際学会で発表し、学術雑誌へ投稿する費用として、旅費、印刷費や論文投稿費等を計上する。
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Research Products
(6 results)