2011 Fiscal Year Research-status Report
自然免疫および自己免疫の解析による小児の急性脳症の病態解明
Project/Area Number |
23591518
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
奥村 彰久 順天堂大学, 医学部, 准教授 (60303624)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
早川 昌弘 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (40343206)
林 雅晴 財団法人東京都医学総合研究所, 脳発達・神経再生研究分野, プロジェクトリーダー (00280777)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 急性脳炎・脳症 / 自己抗体 / 免疫組織染色 / ウエスタンブロット |
Research Abstract |
今年度は、主に急性脳炎・脳症における自己免疫の関与について、免疫組織染色を用いて検討を行った。各症例に対し、年齢をマッチさせた脳障害を伴わない疾患で死亡した児の脳切片を用い、800~4000倍に希釈した患児の血清を反応させた。二次抗体として抗ヒトIgG兎血清を用いて、正常脳切片に結合する抗体の有無を解析した。その結果、亜急性に発症し精神症状を主たる症状とする脳炎・脳症7例中5例に自己抗体を認めた。これらの症例では1~2か月にわたって増悪する精神症状が特徴であった。頭部MRIでは側頭葉病変を1例に認めたが、他の例では異常を認めなかった。脳血流シンチでは、1例を除き基底核と前頭・側頭部の血流増加を認め、特徴的であった。自己抗体の結合は、全例で海馬~側頭葉に認められた。また、抗体が結合した細胞は、4例ではニューロンであったが、1例ではグリア細胞に結合した。このように、自己免疫が関与する急性脳炎・脳症では、共通する面もあるが症例の間で相違を認める部分も少なくなく、抗体が認識するエピトープは症例間で異なっている可能性が考えられた。そこで、現在脳抗原を展開したメンブレンを用いたウエスタンブロットによるエピトープ解析の予備実験を施行した。現在のところ、解析の条件設定は終了し、実際の検体を用いた検討を行う予定になっている。さらに、平成24年度の研究として様々な特異的中枢神経抗体を測定する準備を進めており、ウエスタンブロットと並行してエピトープの解析を行う。また、刺激試験について解析条件の設定のための予備実験を施行しており、条件設定が終了した時点で遠隔期の検体を用いた刺激試験を施行する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
正常対照脳を用いた免疫組織染色による自己抗体の検出に成功し、自己抗体陽性の急性脳炎・脳症の特徴を把握することができたので、初年度の目標は概ねクリアできたと考える。この結果を発展させるためのさらなる解析方法についても概ね準備ができており、平成24年度には更なる成果が出ることが期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
自己抗体については、ウエスタンブロットによる解析と特異的な抗神経抗体の測定とを組み合わせて研究し、平成23年度の結果をさらに発展させる。また、自然免疫の解析のための刺激試験の方法を確立し、遠隔期の検体を用いた検討を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ウエスタンブロットと抗神経抗体の測定による自己抗体の検出を継続する。刺激試験による自然免疫の解析を開始する。
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Research Products
(24 results)