2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23591619
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
高田 実 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 非常勤研究員 (20154784)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山崎 修 岡山大学, 大学病院, 講師 (90294462)
大塚 正樹 岡山大学, 大学病院, 助教 (80452572)
鈴木 規弘 岡山大学, 大学病院, 医員 (10600281)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | メラノーマ / 癌幹細胞 / 血液循環癌細胞 |
Research Abstract |
今年度の研究では、メラノーマ幹細胞のマーカーとして報告されているいくつかの分子の発現をメラノーマのセンチネルリンパ節において検討し、今後、末梢血における解析に用い得る有用なマーカーの選定を試みた。 2005年7月から2010年2月の間に岡山大学病院でセンチネルリンパ節生検を受けた40例を対象とした。リンパ節は半割し、辺縁部は凍結してmRNAの抽出に供し、残りはホルマリン固定して最大割面からHEと免疫染色切片を作成した。mRNAからcDNAを作成し、MART-1, gp100, tyrosinaseの3つの分化マーカーはconventional RT-PCRを、ABCB5, Nestin, CD133, CD271, JARID1B, RUNKの6つのメラノーマ幹細胞マーカーは定量的RT-PCRを行った。正常対照としては菌状息肉症などから得られたdermatopathic lymphadenopathyのリンパ節6例を用いた。正常リンパ節、転移陽性センチネルリンパ節、転移陰性センチネルリンパ節における発現の検討から、6つのメラノーマ幹細胞マーカーのうちABCB5が最も特異性が高く、有用と考えられた。経過観察中に再発した8例は全例HE/IHCで転移陽性、うち7例は分化マーカーが3つとも陽性、4例がABCB5陽性であり、ABCB5の発現が与後にも影響を与える可能性が示唆された。 次に、末梢血を循環するメラノーマ細胞を効率的に捕捉する方法を検討し、数種類のHMW-MAA単クローン抗体のカクテルを用い、混在した白血球をCD45結合磁気ビーズを用いて取り除くことにより、純粋なメラノーマ細胞を得ることが可能であることを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度研究により、末梢血からのメラノーマ細胞の効率的な捕捉方法が確立され、また最も有望なメラノーマ幹細胞のマーカーとしてABCB5を選定することができた。これらの成果により次年度から本研究の主要目的である、末梢血からのメラノーマ幹細胞の分離と解析に向けての準備が概ね完了した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は23年度研究により絞り込まれた幹細胞マーカーのABCB5を用いて、末梢血を循環するメラノーマ幹細胞の生物学的性状を以下の3つの方法で明らかにする。(1)末梢血循環メラノーマ細胞の定量的解析:23年度研究により選定された幹細胞マーカーの抗体を用いて末梢血CTCのFACS解析または塗沫標本の免疫染色によりメラノーマ幹細胞と考えられる細胞集団の表面抗原を明らかにする。さらに定量的解析を行い、CTCに含まれるメラノーマ幹細胞の数と臨床情報の関連を検討し、バイオマーカーとしての有用性を明らかにする。(2)末梢血循環メラノーマ幹細胞の網羅的遺伝子発現解析:(1)の研究で明らかにされた表面抗原を指標とし、これらに対する抗体を用いてメラノーマ患者の末梢血からメラノーマ幹細胞のみを分離、採取する。細胞の採取は、細胞数が多い場合はFACSにより、細胞数が少ない場合には塗沫標本を免疫染色して顕微鏡下にレーザーマイクロダイセクションにより回収する。得られた細胞からmRNAを抽出してパスウェイ特異的PCRアレイを用いて、MAPKシグナルやapoptosisシグナルなどいくつかのシグナル伝達経路に関連した遺伝子の発現を網羅的に解析する。(3)末梢血循環メラノーマ幹細胞の遺伝子異常の解析:同様にメラノーマ患者の末梢血から分離回収されたメラノーマ幹細胞集団からDNAを抽出し、メラノーマ幹細胞の遺伝子異常を明らかにする。遺伝子解析は、NRAS, BRAF, KITなど、メラノーマで変異が報告されている癌遺伝子のホットスポットのシークエンスを行うとともに、array CGHを用いてすべての染色他領域のコピー数異常を網羅的に解析する。回収される細胞が少ない場合は、Whole Genome Amplification法を用いてDNAを増幅して上記の解析に供する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
24年度の研究費は末梢血からのメラノーマ細胞の回収に用いる免疫磁気ビーズ、抗体類、FACS, Whole Genome Amplification、アレイ解析などの実験に用いる試薬類等の消耗品の購入に充てる。
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[Journal Article] Mutation analysis of BRAF and KIT in circulating melanoma cells at the single cell level.2012
Author(s)
Sakaizawa K, Goto Y, Kiniwa Y, Uchiyama A, Harada K, Shimada S, Saida T, Ferrone S, Takata M, Uhara H, Okuyama R.
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Journal Title
Br J Cancer
Volume: 105
Pages: 939-46
DOI
Peer Reviewed
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