2013 Fiscal Year Annual Research Report
尋常性天疱瘡の分子病態・シグナル伝達解明とデスモソームの制御機構
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23591620
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
青山 裕美 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (90291393)
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Keywords | 天疱瘡 / 自己免疫性水疱症 / 細胞内シグナル伝達経路 / ケラチノサイト |
Research Abstract |
難治な自己免疫性水疱症である天疱瘡の診断治療に直結する病因病態を解明する. 1. 自己抗体の病因性をより鋭敏に反映する検査法の改変 抗体価がcutoff値以下でも典型的な天疱瘡の臨床症状を呈する症例について、キット測定時の血清希釈倍率を検討した。また、その病因性についてpipetting assayにて検討した。 2. 臨床的に寛解中に検出される抗体について、EDTA-ELISA法にてエピトープの解析を行い、症例を蓄積した。 3. 増殖性天疱瘡血清からIgGおよびIgA分画を生成し、培養細胞に添加し細胞増殖が亢進することを確認した。さらに、AKT,EGFR系のシグナルを検討した。結果 増殖性天疱瘡IgG型3例、IgA1例で検討したが、これらの症例に共通して変化がみられ、コントロールIgGとの差が明らかな経路が見いだせなかった。引き続き検討中である。 4.プロテオミクスによる解析 方法:培養表皮細胞を病因性モノクロナル抗体(mAb)AK23と非病因性mAbAK20で刺激後可溶化し、1Dゲルで分離後分子量ごとにゲルを切り出し、消化後LC-MS/MSでプロテオーム解析を行った。抗体刺激を加えなかったものに比べ、AK23IgG添加では48種、AK20IgG添加では37種のタンパク質で有意に発現の差を認めた。AK23IgG添加で有意に発現の差がみられたものは、細胞の分化・増殖や、DNA/RNA、タンパク質の生合成や修飾、細胞の骨格や極性、代謝や酸化ストレス、各種細胞小器官に関与するものであった。実際本研究において今までに有意に発現の差がみられたタンパク質の種類は多岐にわたっていた。これらの更に詳しい解析を行っていくことで新たなシグナル伝達や反応経路を見いだすことが可能になると思われる。Western blottingや免疫染色法等を用いて尋常性天疱瘡の更なる機能解析に繋げたい。
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