2013 Fiscal Year Annual Research Report
包埋後染色免疫電顕法を用いた尋常性天疱瘡水疱形成機序の解明
Project/Area Number |
23591629
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
石河 晃 東邦大学, 医学部, 教授 (10202988)
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Keywords | 天疱瘡 / デスモグレイン3 / 棘融解 / 自己免疫性水疱症 / 免疫電顕 / デスモソーム |
Research Abstract |
ヒト抗デスモグレイン3(dsg3)モノクローナル抗体とヒト皮膚を用いた形態学的手法により尋常性天疱瘡の水疱形成機序を詳細に解析することが本研究の目的である。昨年度までにヒト皮膚の器官培養に2種の抗dsg3モノクローナル抗体を真皮内注入し、経時的に表皮の変化と抗体の沈着を観察した結果、病原性を持つPX4-3抗体は22時間後には棘融解を来すこと、病原性を持たないPX4-4抗体は棘融解をおこさないことが明らかになった。また、正常ヒト皮膚を基質とした包埋後免疫電顕法では分子間結合によるエピトープマスクのためモノクローナル抗体のデスモソームへの沈着は確認できず、器官培養系を用いることの必然性が示されていた。 (1)モノクローナル抗体注射2時間器官培養後の正常ヒト皮膚 病原性抗体では、基底細胞のデスモソームの細胞外部にわずかに金コロイドの沈着が確認できた。非病原性抗体では、基底細胞のデスモソームの細胞外部に多数の金コロイドの沈着が確認できた。 (2)モノクローナル抗体注射22時間器官培養後の正常ヒト皮膚 病原性抗体では、基底細胞直上で棘融解形成があった。水疱に面した基底細胞の細胞膜にはデスモソーム構造はほとんど確認できず、金コロイドはわずかに細胞膜上に散在して沈着していた。基底細胞側縁では金コロイドはデスモソーム構造が残存している所では細胞外部に沈着しているが、病原性抗体注射後2時間の検体と比較して細胞質内、特にケラチン線維に一致して金コロイドが散在していた。非病原性抗体では22時間後の検体もデスモソーム構造は保たれ、金コロイドは主にデスモソームの細胞外部に沈着していた。以上のことから、病原性抗体が沈着したデスモグレイン3分子はendocytosisをおこしている可能性が示唆され棘融解形成にある程度関与していることが示された。
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