2011 Fiscal Year Research-status Report
IL-10の局所誘導によるスギ花粉症及びアトピー性皮膚炎の治療
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23591643
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
山中 恵一 三重大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (70314135)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水谷 仁 三重大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30115737)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | スギ花粉症 / IL-10産生型抑制性T細胞 / 免疫療法 |
Research Abstract |
アレルギー疾患に対する抗原特異的治療は免疫療法である。特に欧州では臨床の現場で頻用されておりその作用機序も解明されつつある。一方日本ではスギ花粉症に対しての免疫療法が当院を含め一部の医療機関で行われており、この奏効機序に関して昨年申請者らはIL-10産生型抑制性T細胞の誘導によるものと証明した(J Allergy Clin Immunol 2009; 124: 842)。IL-10産生T細胞の割合は花粉症患者では健常人に比して低下しており、免疫療法によりその割合は経時的な増加を認めた。更に免疫療法により増加したIL-10産生T細胞はブロードなレパートアーを有しているため産生されたIL-10により他のアレルゲンに対してのアレルギー反応をも抑制する可能性を持つ。IL-10は過剰のアレルゲンの負荷にても誘導されるため、免疫療法が奏効する理由として花粉飛散期までに免疫療法での花粉アレルゲンの負荷にてIL-10産生が誘導され結果、飛散期を迎える際には効果的に花粉症の症状を抑制できると思われる。IL-10自身あるいはIL-10産生抑制性T細胞の誘導はアレルギー全般の克服に非常に有用な手法と期待される。Th1/Th2バランスの是正ではなく炎症を抑制するサイトカインであるIL-10の炎症部位への局所誘導はアレルギー疾患に対する安全かつ効果的な解決法である。本研究ではアレルゲンの負荷により免疫抑制を誘導するIL-10産生の時系列的解析を行いその発現の時空間的把握を行う。すなわちアレルギー発症に於いて局所でIL-10がどのタイミングで誘導されるかを正確に突き止め、更に効果的またより安全にIL-10を鼻粘膜という局所のみに誘導するため非増殖性のパラインフルエンザ2型ウイルス(PIV2)ベクターにIL-10遺伝子を挿入したワクチンを用い花粉症及びアトピー性皮膚炎の抑制効果をみる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請者は治療を目的としたスギ花粉を含めアレルゲンの投与は、Th2サイトカインのみならずIL-10を過剰に誘導することにより、炎症反応を抑制・終息させる方向に向かうことを見いだした。しかし、臨床的に有効なIL-10が宿主で発現する時間的空間的変化に関しての情報は得られておらず、免疫治療を行うに当たってその解明が焦眉の課題である。IL-10tm1Flv/Jマウスは生体内でIL-10が産生された細胞に於いてGFPの蛍光を発するマウスで、アレルギー性炎症を誘導することによるIL-10発現を追跡可能である。アレルゲンによる誘導後、鼻粘膜、頸部リンパ節、及び脾臓を経時的にサンプリングし時間的・空間的にIL-10の産生場所が追跡可能となる。これらは ほぼ実験としてはなし得た。
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Strategy for Future Research Activity |
現在の抗原特異的免疫療法では花粉エキスの舌下、あるいは皮下投与にてスギ花粉特異的なIL-10陽性抑制性T細胞の全身的な増加を促し、その一部が鼻粘膜という炎症の現場で働き鼻アレルギーの症状を抑制すると推測されている。効果的且つ安全な免疫抑制を考えた場合、全身的ではなく局所(上気道)でより効果的にIL-10を発現する事が望ましく、本研究では非増殖性のパラインフルエンザ2型ウイルス(PIV2)ベクターにIL-10遺伝子を挿入したワクチン(PIV2/IL-10)を作製し、上気道粘膜を標的臓器とした遺伝子免疫療法の開発を行う。PIV2は病原性が低く、挿入遺伝子の発現効率が高くウイルスベクターとして有用である。これまでの研究からPIV2ベクターは経鼻投与にて効率よく気道粘膜上皮に取り込まれ、挿入されたサイトカインをはじめとする遺伝子産物を効果的に発現する事が証明できており鼻アレルギー及びアトピー性皮膚炎にて効果を検証するものである。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
スギ花粉症モデルはマウスに精製スギ花粉抗原(Cryj 1)溶液と水酸化アルミニウムゲルを混合した懸濁液を、day 0およびday 4の2回、腹腔内投与し、day 10,12,14,16,18およびday 20にスギ花粉抗原溶液をマウスの鼻腔内に注入して経鼻感作を行い作成する。このモデルに関しては、概ね作成できており、治療法として PIV2/IL-10をday 7に投与する群とday14に投与する群にて効果の発現をみる。
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Research Products
(9 results)
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[Journal Article] Intratumoral Injection of Propionibacterium acnes Suppresses Malignant Melanoma by Enhancing Th1 Immune Responses.2011
Author(s)
Tsuda K, Yamanaka K, Linan W, Miyahara Y, Akeda T, Nakanishi T, Kitagawa H, Kakeda M, Kurokawa I, Shiku H, Gabazza EC, Mizutani H.
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Journal Title
PLoS ONE
Volume: 6
Pages: 29020
Peer Reviewed
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