2011 Fiscal Year Research-status Report
炎症性皮膚疾患モデルマウスにおける脂質代謝ネットワークの解析
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23591665
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
山本 圭 (財)東京都医学総合研究所, 生体分子先端研究分野, 主席研究員 (30304504)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | ホスホリパーゼA2 / 脂質代謝 / 皮膚疾患 / アトピー性皮膚炎 / 接触性皮膚炎 / 皮膚癌 / 質量分析 / モデルマウス |
Research Abstract |
接触性皮膚炎やアトピー性皮膚炎に代表される炎症性皮膚疾患は、免疫系、表皮バリア機能、掻破などが複雑に絡み合った複合アレルギー疾患である。免疫学的恒常性の維持や免疫応答の制御に脂質メディエーターが関与する事が最近知られてきているが、皮膚における役割については十分理解されていない。10種類のアイソザイムからなる細胞外分泌性PLA2(sPLA2)は、リポ蛋白質や細胞の外側からリン脂質膜を加水分解しリゾリン脂質と遊離脂肪酸を産生するが、その生体内機能については不明な点が多く残されている。我々はこれまでに炎症性皮膚疾患と関わりのある細胞に特徴的に発現しているsPLA2アイソザイムを見出しており、本研究ではsPLA2遺伝子改変マウスをツールに炎症性皮膚疾患における時空間的な脂質ネットワークを解明し、これを理論基盤とした創薬および予防治療の可能性を検討することを目的としている。 本年度は、Th1免疫応答のDNFB誘導接触性皮膚炎、Th2免疫応答のOVA反復塗布誘導アトピー性皮膚炎、DMBA-TPA皮膚癌を各種sPLA2-KOマウスに適用して解析をおこなった。その結果、接触性皮膚炎に関連するsPLA2としてsPLA2-V,-X,-IIF,-IID,-IIIを同定した。そのうちsPLA2-IIDは、接触性皮膚炎の炎症収束(寛解)に関わり、炎症収束期のリンパ節のホスファチジルエタノールアミンを基質とし選択的に高度不飽和脂肪酸を遊離し、抗炎症性脂質メディエーターの産生を制御していることが明らかになった。さらに、アトピー性皮膚炎に関連するsPLA2として、sPLA2-III, -Vがそれぞれ抑制的および促進的に機能すること、sPLA2-IIFが皮膚癌の成長に機能することを見出した。現在、表現型の詳細な機能解析および関連する脂質分子の同定を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アトピー性皮膚炎および皮膚癌に関連する脂質ネットワークの解析については若干遅れているが、概ね研究実施計画通りに進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に引き続きアトピー性皮膚炎および皮膚癌に関わるsPLA2について皮膚および所属リンパ節の微小環境下において、質量分析を用いた脂質プロファイリングおよびマイクロアレイによる遺伝子プロファイリングを展開し、各sPLA2サブタイプを起点とする脂質ネットワークの解明を進めて行く。さらに、ヒトへの応用を目指し、sPLA2サブタイプの活性を阻害する低分子化合物または抗体を炎症性皮膚疾患モデルに適用し、予防治療薬としての検証も進めていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
申請者の所属機関における遺伝子改変マウスの維持費は、現状の規模では一ヶ月約50千円である。本研究においては年間600千円が見込まれるが、その一部を本申請分で支払い、不足分は所属機関の公費でまかなう。残りの経費を遺伝子解析および脂質解析などに必要な一般試薬消耗品に充てるが、不足分は所属機関の公費でまかなう。研究成果を、国内外の学会で発表することを考慮し、本年度は日本生化学会およびFASEB meetingを設定する。また、本年度の論文報告を見込み、論文発表の英文校正と論文投稿費を計上する。年次ごとに一時的な研究補助員(動物管理)の謝金120千円(月10千円x12ヶ月)を設定する。
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