2013 Fiscal Year Annual Research Report
精神病発症高リスク状態と初発統合失調症患者における中間表現系指標の体系的検討
Project/Area Number |
23591687
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
久住 一郎 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30250426)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 侯輝 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40455663)
橋本 直樹 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40615895)
豊巻 敦人 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任助教 (70515494)
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Keywords | Sternberg課題 / 作業記憶 / 事象関連電位 / 事象関連同期 / 統合失調症 |
Research Abstract |
これまで統合失調症における作業記憶障害は神経心理学的検査などを用いた行動指標による評価が行われて、記銘および保持の初期に障害があることが報告されているが、それぞれの作業記憶過程と神経活動との関連を調べた研究は少ない。本研究では、健常者16名と統合失調症患者11名を対象としてSternberg課題遂行時の脳波を計測し、事象関連電位・事象関連同期を検討して、両群の記銘処理過程を比較した。健常群では、選択的注意を反映するN1成分・ガンマ律動、符号化を反映する後期陽性成分が認められ、記憶負荷の可変性に対して複雑な処理が並行して行われており、限られた容量のもとで処理の効率性が維持されることが示唆された。統合失調症群との比較ではN1成分に有意差が認められ、統合失調症群では健常群に比べて記銘における知覚処理そのもの、および処理を深めるための過程が障害されていることが示唆された。また、この記銘の障害が保持・再認などのその後の処理に影響を与えた可能性もある。これらのことから、統合失調症の作業記憶障害の背景には複数の処理における効率性の低下が考えられた。作業記憶は情報を保持しながら処理を進める記憶システムであり、前頭前野を含む複数の領域との機能的結合が重要である。神経活動を含めた評価によって作業記憶障害の詳細な評価が可能になると考えられる。本検討から、神経活動を含めた治療・リハビリテーションの評価、より深い水準での知覚処理の促進または注意機能を向上させるような治療的介入が望まれることが示唆された。
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Research Products
(4 results)