2011 Fiscal Year Research-status Report
64列検出器CTを用いた海綿骨骨梁構造解析による骨粗鬆症性脊椎骨折のリスク評価
Project/Area Number |
23591768
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
高須 深雪 広島大学, 病院, 病院助教 (70565647)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 信弘 広島大学, 病院, 助教 (20363062)
坂井 晃 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (70284221)
粟井 和夫 広島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (30294573)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 続発性骨粗鬆症 |
Research Abstract |
本研究は、64検出器CT検査による骨粗鬆症性脊椎骨折のリスク評価を目的とした多施設・前向き共同研究である。具体的には、(1) 続発性骨粗鬆症と対照例の骨梁パラメータの差の統計解析、(2)脊椎骨折を生じる骨梁パラメータの閾値の決定、(3) DXA骨密度と骨梁パラメータの脊椎骨折予測能を比較、(4) 骨粗鬆症の骨折リスク患者における64検出器CTの適応基準やガイドライン作成の基礎となる本邦データベースの構築を目的としているI. 対象は腰椎椎体骨折10人、胃全摘後60人、慢性腎不全20人、多発性骨髄腫(MGUS、無症候性骨髄腫、症候性骨髄腫)各20人、対照80人(60才~79才、各年代40人ずつ)のCTデータを拾得した。症例収集(研究代表者、研究分担者:坂井晃、田中信弘担当)は当院より約70%を収集広島赤十字原爆病院より約30%(研究協力者:麻奥武毅 臨床検査部部長)拾得した。II. 画像の撮影は予定検査として行われるルーチンCT検査を利用して行った。GE社製64列検出器CT(VCT)を用い再構成画像を解析用コンピュータWindows(64bit)へ転送、(H23設備備品)、3D骨梁構造計測ソフト3D-TRI/BON64(Ratocシステムエンジニアリング)(H23消耗品)により海綿骨骨梁解析を行った。各椎体中央で厚み1cm部分のデータから骨組織容積比、骨梁数、骨梁幅、骨梁間距離(Tb.Sp)、Structure Model Index(SMI)、Euler数、異方性度(DA)、フラクタル次元を算出し、海綿骨骨梁パラメータとした。本研究の成果は「疾患による脊椎の脆弱性を定量的に決定する可能性がある」「どのような骨梁パラメータが椎体の脆弱性と関連するのか」について方向性を与えるものである。続発性骨粗鬆症への治療介入のタイミング決定に貢献する可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.多列検出器CTを用いた多発性骨髄腫の海綿骨骨梁解析:preliminary results:第70回日本医学放射線学会学術発表会 (2011, 横浜)、2.画像による多発性骨髄腫の海綿骨骨梁構造解析:第29回日本骨代謝学会学術集会若手シンポジウム (2011、東京)、3.画像による多発性骨髄腫の海綿骨骨梁構造解析:第14回癌と骨病変研究会 (2011、東京)、4.Transient Thickening of Trabecular Bone in Patients with Multiple Myeloma Detected by Microstructure Analysis of Lumbar Vertebrae Using Multidetector Computed Tomography:RSNA The 97th Scientific Assembly and Annual Meeting (November. 2011, Chicago, USA)で成果を発表した。成果1では、64列検出器CTを用いて多発性骨髄腫患者29人、対照51人の腰椎微細構造を評価した。病的骨折のない骨髄腫と正常対照では脊椎微細構造に有意な差が見られた。男性患者では骨梁が太く、女性では異方性度が上昇する傾向が見られた。成果2では対照125人、MGUS+無症候性骨髄腫29人、症候性骨髄腫18人に同様の解析を行った。多重比較では、男性では骨梁幅、異方性度がMGUS+無症候性骨髄腫群で上昇し、症候性骨髄腫では低下していた。成果3では多発性骨髄腫患者の化学療法による骨梁変化を評価した。レナリドミド投与期間に対し、その他の化学療法期間では骨梁幅の変化率が高かった。成果4では多発性骨髄腫の骨梁微細構造の性、病期での違いが異なる画像所見に対応する可能性を示した。
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Strategy for Future Research Activity |
対象は椎骨折を60人、その他各患者群を各40人追加(症例収集担当は前年度と同様)、平成23~25年度に撮影・登録された患者の追跡撮影を、約1年で行う。対照が検査された場合も、同様な解析をする。統計処理(研究分担者:粟井和夫参画)(1) 対照の解析:60才台と70才代で骨梁パラメータの差を求める。(2) 骨梁パラメータの多重比較:対照・患者群間(腰椎骨折群除く)で固有の骨梁パラメータ変化の有無を検定する。(3) 対照・患者と腰椎骨折群で有意差のある海綿骨骨梁パラメータを決定する。 →骨折予測因子と成りうる骨梁パラメータの検出。(4) 骨折予測因子である骨梁パラメータと骨量ファントムで求められた骨密度の、椎体骨折に対する相対リスクの比較。付随解析として(5) MGUS/無症候性/症候性骨髄腫の比較:多重比較→一般化線形モデルにより症候性骨髄腫(≒脊椎骨折)を分離するモデルを求める。(6) 追跡可能症例の骨梁パラメータの変化を求める。骨梁パラメータの経時的変化及び患者群間での骨梁パラメータ変化の違いを求める。研究が当初計画通りに進まないときの対応:【症例収集】腰椎骨折症例が不足する場合、関連病院(安佐市民病院、マツダ病院等)に収集施設を拡大する。特に疾患別解析が必要となった場合、症例数の少ない症例に関し重点的に収集する。各群腰椎骨折群20症例で解析可能と考える。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度は3D骨梁構造計測ソフトTRI/3D-BON64をレンタル(17万/月)にて使用予定である。国内、海外での学術発表のための旅費、学術成果発表のための英文校正・謝礼、及びCTデータ移送費用を計上している。
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] Multiple Myeloma: Microstructural Analysis of Lumbar Trabecular Bones in Patients without Visible Bone Lesions--Preliminary Results2011
Author(s)
Takasu M, Tani C, Ishikawa M, Date S, Horiguchi J, Kiguchi M, Tamura A, Sakai A, Asaoku H, Nango N, Awai K
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Journal Title
Radiology
Volume: 260
Pages: 472-479
Peer Reviewed
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