鏡視下肝癌切除例の周術期血清抗ＳＥＲＥＸ抗体モニタリングの有用性に関する検討

2012 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 23591996
• Research Institution: Toho University
• Principal Investigator: 金子 弘真 東邦大学, 医学部, 教授 (00169575)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 島田 英昭 東邦大学, 医学部, 教授 (20292691) ; 久保田 喜久 東邦大学, 医学部, 助教 (70385699)
• Keywords: ＳＥＲＥＸ / ＲａｌＡ / Ｓｕｉ1 / ＥＬＩＳＡ / 肝細胞癌 / 血清抗体 / 腫瘍マーカー

Research Abstract

●RalAならびにSui1分子を標的として血清抗体を検出できるELISAキットを作成して診断的有用性を検討することを目標としている。平成23年度に試作したELISAキットの陽性率が十分でなかったため、ペプチド分離方法を工夫して再度ELISAキットを作成した。肝癌患者血清を用いて、血清SEREX抗体の存在の有無をウエスタンブロット法ならびに試作したELISAキットにて検討する。
●平成24年度には、p53を含めた3種類のELISAｷｯﾄを使用して、同一サンプルを解析してそれぞれの血清抗体価を測定した。健常者血清における ELISA測定レベルの平均値＋3SD を基準値とした。基準値を上回る症例を陽性と診断した。その結果、肝癌患者における血清抗体陽性率は、5～10% 程度であった。
●作成したELISAキットを利用して、前向きに血液サンプルを収集して、その性能を評価するための多施設研究を企画した。平成24年度内に、肝癌の血液サンプルを新たに合計約40症例を収集した。
●平成24年度も研究計画とおりに、東邦大学医療センター大森病院で入院・加療した肝癌患者の血清を文書により本人の了解を得て収集保存した。解析対象の肝癌症例の血清は、治療前に採取し、血清分離後、マイナス80度にて研究開始まで凍結保存されたものを使用した。

Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

研究計画3年間の２年目であり、当初計画に基づく研究計画を予定通り実施した。

Strategy for Future Research Activity

研究計画3年間の２年目であり、当初計画に基づく研究計画を予定通り実施できた。肝癌と慢性肝炎、肝硬変との鑑別を行うためには、相当数の症例数を用いた検討が必要であり、現在東邦大学ならびに関連施設と協力して症例収集に努めている。平成25年度は、引き続き症例数を追加する。3種類のSEREX抗原を固相化したELISAｷｯﾄにより測定された血清抗体価と肝癌症例における、臨床病理学的因子との相関関係を検討する。また、化学療法施行症例においては、治療感受性との相関関係を検討する。再発症例においては、再発時期、予後との相関関係を検討する。本研究において、作製した多種抗原を標的とした血清抗体検査の臨床上の有用性を検討する。手術切除標本の免疫染色を行い、血清SEREX抗体価との相関関係を検討する。
切除手術前後、化学療法前後などの治療経過中の血清SEREX抗体価ﾓﾆﾀﾘﾝｸﾞと臨床経過、治療効果との相関関係を検討する。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

平成24年度の研究進捗状況は、ほぼ計画通りであり順調に進行している。ただし、平成24年度は一回のサンプル数を多くし解析回数を少なくしたため、結果として解析費用に伴う消耗品代金の節減となり支出が少ない傾向であった。平成25年度は、ほぼ計画通りの執行となるものと計画している。

Research Products

• [Presentation] 消化器癌患者における血清NYESO-1抗体は新規腫瘍マーカーとなるか？
  • Author(s): 島田英昭, 大嶋陽幸, 谷島 聡, 名波竜規, 鷲澤尚宏, 山﨑有浩, 田村 晃, 大塚由一郎, 石井 淳, 久保田喜久, 小池淳一, 船橋公彦, 前田徹也, 金子弘真
  • Organizer: 第10回日本消化器外科学会大会（JDDW2012）
  • Place of Presentation: 神戸国際展示場(兵庫県）
• [Presentation] 肝細胞癌症例における血清galectin-1 抗体の解析～新規腫瘍マーカーの可能性～
  • Author(s): 名波竜規, 島田英昭, 山﨑有浩, 谷島聡, 大嶋陽幸, 田村晃, 大塚由一郎, 前田徹也, 石井淳, 片桐敏雄, 金子奉暁, 久保田喜久, 鷲澤尚宏, 大塚誠子, 金子弘真
  • Organizer: 第112回日本外科学会定期学術集会
  • Place of Presentation: 幕張メッセ（千葉県）