2011 Fiscal Year Research-status Report
てんかん原生を獲得する神経細胞を、活動を減弱させ細胞死へ誘導することができるか?
Project/Area Number |
23592106
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
中島 円 順天堂大学, 医学部, 助教 (50317450)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅野 秀宣 順天堂大学, 医学部, 准教授 (90265992)
西村 欣也 順天堂大学, 医学部, 教授 (80164581)
新井 一 順天堂大学, 医学部, 教授 (70167229)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 海馬 / 神経新生 / 側頭葉てんかん / てんかんモデルマウス / ピロカルピン / GFP / レベチラセタム |
Research Abstract |
【背景と目的】てんかん発作は海馬に病理学的な変化をもたらし、てんかん原性を獲得することで発作の再発や難治化をきたすと考えられている。てんかん原性成因のとして発作によって促進される海馬の神経新生が挙げられている。従来の抗てんかん薬での治療は、慢性期の発作の抑制が第一目的であり、発作初期のてんかん原性獲得に対しては阻害作用を及ぼさないと考えられている。レベチラセタムはシナプス小胞に作用し、既存の薬剤とは異なる薬理作用で抗てんかん効果を発揮することから、抗てんかん原性作用を示す可能性を秘めている。【方法】ピロカルピン腹腔内投与によりてんかん重積を誘発し側頭葉てんかんモデルマウスを作成する。ピロカルピン投与48時間後にGFPをラベルしたretrovirusを歯状回に注入し、発作後新生した神経細胞を識別出来るようにする。14日ないし28日後にsacrificeし脳を摘出した。実験の第一段階として、免疫組織学的染色を用いて正常マウス海馬歯状回と比較して新生細胞の形態的・機能的成熟度を検討する。染色抗体としてPSA-NCAM、DCX、NeuN、Prox-1、NKCC1、KCC2を用いる。第二段階として、従来薬の投与、発作後急性期でのレベチラセタム予防的投与、慢性期での投与、と投薬時期と投与方法によって海馬歯状回に対する病理学的、電気生理学的、症候的な差違があるか検討する。【結果】現在、第一段階までは比較群と比べててんかん重積群では神経細胞の新生が増加していた。また、新生細胞の樹状突起はより複雑化し、長さも伸長している印象があった。免疫染色を用いた検討では、GFP陽性の新生細胞はDCXと供染色されており、機能的にも未熟であることが示唆された。【結語】てんかん発作による新生細胞は機能的に未熟でかつ形態的にも異常であった。今後はレベチラセタムを用いててんかん原性の獲得に関して検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ピロカルピン腹腔内投与による側頭葉てんかんモデルマウスが安定して作成でき、免疫染色も技術的に安定している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の課題としては、様々な薬物環境下での観察を行い、新生神経細胞の変化を継時的に確認する作業を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
てんかん動物モデルを用いて、薬剤(レベチラセタム)投与環境下でのてんかん原生獲得の変化などを免疫染色やパッチクランプにより電気生理学的に観察する。結果は、論文や学会で発表する。
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