2012 Fiscal Year Research-status Report
生物医薬品としての肉腫標的化腫瘍溶解性ウイルスの開発
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23592203
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Research Institution | Research Institute, Osaka Medical Center for Cancer and Cardiovascular Disaeses |
Principal Investigator |
山村 倫子 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪府立成人病センター(研究所), その他部局等, 研究員 (50342994)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 克仁 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪府立成人病センター(研究所), その他部局等, 研究員 (40211338)
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Keywords | 遺伝子治療 / 腫瘍溶解性ウイルス / ヘルペスウイルス / カルポニン / 肉腫 / 悪性中皮腫 |
Research Abstract |
難治性肉腫と悪性中皮腫に対する腫瘍溶解性単純ヘルペスウイルスを用いた標的遺伝子療法の速やかかつ適切な実用化・臨床応用を目指し、遺伝子治療剤d12.CALPΔRRとカルポニンを発現しない腫瘍にも応用可能新規腫瘍溶解性HSV-1, d12.ODDΔRRの臨床研究に使用可能な試験薬を製造することを目的として、ウイルス臨床ロット製造のため、d12.CALPfΔRRと固形腫瘍の腫瘍内低酸素環境を標的化し得る新規腫瘍溶解性HSV-1ウイルスd12.ODDΔRRについて、既に製造済みで米国での生物学的評価試験(安全性試験)が終了したウイルス産生細胞であるVeroデザイナー細胞において、特異的で安定した標識遺伝子発現を示す単一クローンを限界希釈法により精製した。上記d12.CALPfΔRRとd12.ODDΔRRのウイルスを用いて、ウイルスゲノムの塩基配列の決定と単一クローン化をさらに進めた。単一クローン化を容易にするために、d12ODDΔRRウイルスの標識遺伝子をLacZからEGFPに変更したウイルスクローンを相同組換え法で作製した。 Fisherラットに移植可能な悪性繊維性組織球腫(未分化多形性肉腫)を用いて、免疫能をもつ実験動物モデルで、精製d12ODDΔRRとd12.CALPfΔRRウイルスの効力試験を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、遺伝子治療剤d12.CALPΔRRとカルポニンを発現しない腫瘍にも応用可能新規腫瘍溶解性HSV-1, d12.ODDΔRRの臨床ロット製造のためのクローンニングと効力試験にあるが、クローンの不安定性があり、純度を100%にあげることができなかった。これまで80~90%にクローン化したウイルス溶液を用いて、Fisherラットでの抗腫瘍効果とより臨床に近い肉腫切除後の再発予防効果は確認されている。
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Strategy for Future Research Activity |
d12.CALPfΔRRの抗腫瘍効果を高め、クローンの安定性を高めるためにd12.CALPfΔRRウイルスのRRを温存した変異体を作製するため、これまでBACへのクローニンサイトとして外来遺伝子の挿入を確認し得たUL3とUL4の領域のそれぞれ3kbの相同配列に挟まれた-4F2enhancer-calponin1 promoter-ICP4-IRES-EGFP-の配列を含む相同組換えベクターを全人工合成し、化学及び血清療法研究所との共同研究で既に作製済みのマスターセルバンクのウイルス製造用ICP4+Vero細胞を用いて相同組換えを行う。さらに、上記のVeroデザイナー細胞を用いて、最も試験薬製造に適した安定なクローンを選別し、小スケールでのマスターウイルスシードストック(MVSS)の精製を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
相同組換えベクターのDNA合成や、組換え体の選別に要する細胞培養の試薬費用に用いる
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