2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23592226
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
小池 達也 大阪市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (50271177)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
海老原 健 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (70362514)
多田 昌弘 大阪市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 病院講師 (20514235)
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Keywords | レプチン / 関節炎 / トランスジェニック |
Research Abstract |
関節炎における脂質系サイトカインの役割を解明するために、脂肪細胞から分泌されるアディポサイトカインの一つであるレプチンの関節炎における作用を検討した。前年までに、レプチンが分泌されないob/obマウスおよび我々が継代しているレプチントランスジェニックマウス(逆にレプチンが大量に存在)に関節炎モデルであるコラーゲン抗体関節炎(CAIA)を誘導したところ、いずれも野生型マウスよりも関節炎が程度が軽度であった。つまり、レプチン濃度が高くても低くても関節炎は起こりにくいことになる。そこで、次に全身脂肪萎縮マウスを用いて同様の研究を行った。このマウスは痩せていて、かつレプチン濃度が低いことがわかっている。したがって、全身脂肪萎縮マウスにCAIAを誘導した際に、関節炎が増大すれば末梢レプチンによる関節炎抑制、抑制されれば全く未知の機構が存在することになる。 ところが、全身脂肪萎縮マウスには、野生型を含めて関節炎が全く生じず、種々の検討を行ったところ、脂肪萎縮マウスの遺伝子的バックグラウンドであるFVB/Nマウスには我々が用いているコラーゲン抗体による関節炎が極度に発生しにくいことが判明した。したがって、この系統のマウスを用いる研究はいったん中止とした。 そこで、トランスジェニックマウスで関節炎が生じにくいメカニズムを明らかにするために前年度に行ったサイトカイン測定をさらに推し進めた。関節炎に関与すると考えられているサイトカイン群を網羅的に調べたところ、本来上昇するはずのインターロイキン6(IL-6) 濃度がトランスジェニックマウスでは上昇しないことが明らかとなった。詳細な機構を解き明かすには動物モデルでは限界があると考え、マクロファージ系の細胞を用いた細胞モデル構築に進んで、炎症刺激によりIL-6濃度が上昇する細胞培養系を確立した。最終年度で、レプチン効果を検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
前年度から今回の実験に不向きであると思われた全身脂肪萎縮症マウスが全く使用できないことが明らかになり、さらに、トランスジェニックマウスが関節炎を惹起する際に使用するLPS(リポポリサッカライド)投与に感受性が強すぎで実験中に死亡することが多く、十分な実験数を確保できなかった。トランスジェニックを継代し数を確保し、LPSの最適条件を決定するのに長期の時間を要したことが大きな原因であった。しかし、組織検索や体内サイトカイン動態を調べることができるin vivoモデルから撤退する決心が遅れ、無駄な時間を送ってしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
血中レプチンが高くても低くても関節炎は起こりにくいという事実を知ることはできたが、そのメカニズムに関しては何もわかっていない。幸いにも今年度の後半に、マクロファージに分化する細胞(THP-1)にLPSを投与して、炎症性サイトカインであるIL-6が上昇し、抗炎症系サイトカインであるIL-10が低下する系を細胞培養系で確立することができた。ただし、パイロット実験として行ったレプチン投与実験では、細胞中のIL-6のmRNAレベルに明確な変動を認めることはできていない。しかし、動物モデルから考えると、細胞培養系における実験手順としてLPSとレプチンの同時投与ではなく、レプチンの事前投与の方が理にかなっていると考えられるので、処理の条件設定を詰めてゆきたい。従来の予定では、オステオカルシンのトランスジェニックを作成し、骨系サイトカインと脂質系サイトカインのクロストークを解明したいと考えていたが、進行状況の遅れから無理と判断し、細胞培養系の実験に注力する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
元来の予定も消耗品のみであり、その細目に変化はない。ただし動物系の費用は継代費用のみとし、残りは細胞培養系の培地・細胞・試薬に振り分ける。
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] Risk factors for severe nonsteroidal anti-inflammatory drug-induced small intestinal damage2013
Author(s)
T. Watanabe, T. Tanigawa, Y. Nadatani, Y. Nagami, S. Sugimori, H. Okazaki, H. Yamagami, K. Watanabe, K. Tominaga, Y. Fujiwara, T. Koike, T. Arakawa
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Journal Title
Digest Liver Dis
Volume: in press
Pages: in press
DOI
Peer Reviewed
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