2011 Fiscal Year Research-status Report
肩関節の生体力学的解析に基づく腱板断裂発症機構の解明
Project/Area Number |
23592237
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
三幡 輝久 大阪医科大学, 医学部, 助教 (30425053)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 国際情報交流 |
Research Abstract |
【目的】腱板断裂に対する保存的治療として、腱板筋力訓練が広く行われている。腱板断裂サイズは経年的に増加すると考えられているが、腱板筋力訓練が断裂サイズの拡大に影響を及ぼすかは知られていない。そこで今回、腱板筋力強化によって残存腱板の歪みが変化するかを検討した。【対象と方法】新鮮凍結屍体8肩関節を肩実験装置に設置して実験を行った。まず棘上筋腱を大結節付着部にて前後幅1cmで切離し(小断裂モデル)、2種類の筋力負荷((1)コントロール群:棘上筋20N、肩甲下筋30N、棘下筋20N、小円筋10N、三角筋60N、大胸筋30N、広背筋30N、(2)腱板筋力増加群:棘上筋20N、肩甲下筋60N、棘下筋40N、小円筋20N、三角筋60N、大胸筋30N、広背筋30N)を加えることによる残存腱板の歪みを、Microscribeを用いて計測した。計測部位は切離した腱板の前方と後方に対して、(1)断裂部辺縁、(2)辺縁から5mm、(3)辺縁から10mmの3か所ずつとした。続いて棘上筋腱と棘下筋腱の切離を追加して前後幅2cm(中断裂モデル)、前後幅3cm(大断裂モデル)とし、小断裂モデルと同様に2種類の筋力負荷で残存腱板の歪みを計測した。コントロール群と腱板筋力増加群における歪みを、t検定により比較検討した。【結果】小断裂モデルにおける残存腱板の歪みは、腱板筋力負荷を変えても有意な変化を認めなかった。中断裂モデルにおいては、腱板筋力負荷を増加させることにより、前方の辺縁から5mmと10mmにおける歪みが有意に減少した(p<0.05)。大断裂モデルにおいては、腱板筋力負荷を増加させることにより、前方と後方ともにすべての計測部位で歪みは有意に減少した(p<0.05)。【考察】2cm以上の腱板断裂に対しては、腱板筋力訓練によって断裂部の拡大を抑制できる可能性があると思われた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
すでに一つ目の実験は完成し、日本整形外科学会で発表した。
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Strategy for Future Research Activity |
さらに別の角度から腱板断裂の病態に関する実験を行い、学会発表や投稿を行う予定である。実験予定:平成24年5月26日よりUniversity of California, Irvine, Biomechanics laboratoryにおいて、屍体肩を用いた生体力学的研究を予定している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実験や国際学会発表のための旅費とともに、パソコンや実験機器の購入を検討している。次年度使用額については本年度の実験機器購入に充てる予定である。
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Research Products
(1 results)