2011 Fiscal Year Research-status Report
胎盤発生過程におけるCdx2のエピジェネティックな分子機構とヒト胎盤幹細胞の樹立
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23592390
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
菅原 準一 東北大学, 東北メディカル・メガバンク機構, 教授 (60280880)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡江 寛明 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10582695)
樋浦 仁 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (70451523)
有馬 隆博 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80253532)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 胎盤幹細胞 / エピジェネティクス / 細胞系譜 |
Research Abstract |
胎盤組織へと分化する胚体外組織(TE)は、胚盤胞期にCdx2の発現亢進とOct3/4の発現低下により、胚体組織より分化し、細胞運命が決定する。胎盤幹(TS)細胞は、胚体外細胞系列から樹立した未分化細胞で、容易に胎盤構成細胞への分化が可能な細胞である。本研究では、TS細胞を用い、Cdx2遺伝子のエピジェネティックな分子機構と分子間相互作用について解析する事を目的とした。本年度は、これまでにTS細胞を樹立し、安定維持している。この細胞を用いて、Cdx2遺伝子プロモーター領域のDNAメチル化とヒストン修飾について解析を行なった。DNAメチル化の解析は Bisulphite処理後PCRを行い(Bisulphite-PCR法)、クローニングベクターを用いシークエンス。少なくとも10個のクローンについて解析し、PCR領域内の全てのメチル化部位について解析した。ヒストン修飾の解析では、同細胞核より蛋白質-DNA複合体を抽出。超音波ソニケーターで粉砕後、活性型修飾の解析には、抗ヒストンH3-K(リジン)9とH3-K14のアセチル化および抗H3-K4のジメチル化抗体を利用。一方、不活化型には抗ヒストンH3-K9ジメチル化および抗H3-K27のトリメチル化抗体を利用。それぞれ免疫沈降後、PCRによりヒストン修飾の有無について解析した。その結果、Cdx2遺伝子のプロモーター領域のDNAメチル化を解析したところ、低メチル化状態であることが明らかとなった。同様に、ヒストン修飾も活性型で有為な変化を認めた。胎児性幹細胞(ES)でも解析したが、高メチル化状態を維持していた。この結果はメチル化阻害剤を添加して、再確認した。これらの結果より、ES とTSの分化過程には、Cdx2遺伝子のエピジェネティックな分子機構が作用する事が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記の如く、平成23年度の研究実施計画である「TE分化へのCdx2遺伝子の分子機構の解明」はほぼ予定通り終了した。
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Strategy for Future Research Activity |
一過性および永続性に、遺伝子発現を抑制するCdx2 遺伝子のノックダウンTS細胞とOct3/4遺伝子強制発現TS細胞株を樹立し、細胞特性や未分化TSマーカー遺伝子に与える影響について分子間相互作用を明らかにしていく計画である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額は、今年度の研究を効率的に推進したことに伴い発生した未使用額であり、平成24年度請求額と合わせ、次年度に計画している研究の遂行に使用する予定である。
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