2011 Fiscal Year Research-status Report
閉経後女性の内臓脂肪蓄積機構の解明―メタボローム解析による創薬に向けた基礎的研究
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23592433
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
高橋 一広 山形大学, 医学部, 准教授 (20292427)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
倉智 博久 山形大学, 医学部, 教授 (40153366)
山谷 日鶴 山形大学, 医学部, 医員 (40550637)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | メタボリックシンドローム / エストロゲン / 内臓脂肪 / グルココルチコイド / 11β-HSD1 |
Research Abstract |
目的:脂肪組織内のグルココルチコイド活性化が、metabolic syndromeの中核をなす病態の一つとして注目されている。ラットではエストロゲンが、不活性型のcortisone (IC)を活性型のcortisol (AC)に変換する11β-hydroxysteroid dehydrogenase (HSD)1の発現を抑制する。本研究では、閉経後に増加する内臓脂肪において、有経時に比較し11β-HSD1の発現およびAC合成が亢進しているか否かを検討した。方法:倫理委員会の承認後、手術患者41名(有経16名、閉経25名)から書面にて同意を得た上で、内臓脂肪である大網および皮下脂肪を摘出しRNAを抽出した。1)11β-HSD1、aromatase、17β-HSD1/2 の各mRNA発現をreal-time PCR法で測定した。2)脂肪組織中のAC、IC、エストロゲン(E1、E2)濃度を測定した。結果:1)有経群に比較し閉経群の内臓脂肪で11β-HSD1の発現が有意に(p<0.05)高値であった。2)有経群に比較し閉経群の内臓脂肪でAC/IC比が有意に(p<0.05)高値であった。また、閉経後の内臓脂肪でE1/E2比がBMIに相関して有意に(p<0.05)増加した。考察:閉経後の内臓脂肪で11β-HSD1の発現が増加することが明らかになり、ヒトでもエストロゲンは11β-HSD1の発現を抑制すると考えられた。BMIの増加に伴い脂肪組織内のaromatase発現は増加するが、生理活性の低いE1が優位になるため、局所内のグルココルチコイド活性化を抑制できない可能性が想定された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在まで、有経群に比較し閉経群の内臓脂肪で11β-HSD1の発現が有意に高値であること、また、有経群に比較し閉経群の内臓脂肪で活性型コルチゾール/不活性型コルチゾール比が有意に高値であったことを明らかにした。さらに閉経後の内臓脂肪でE1/E2比がBMIに相関して有意に増加したことも明らかにすることができ、現在までの研究は順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
有経および閉経後女性内臓脂肪におけるメタボローム解析を行う予定である。1) 脂肪組織を用いてキャピラリー電気泳動質量分析装置(capillary electrophoresis mass spectrometry, CE-MS)によるメタボローム解析を行う。CE-MSは、従来行われてきたメタボローム解析法と比べ、イオン性低分子化合物の網羅的解析に優れている。メタボローム解析および専用の解析ソフトを用いて得られる全代謝経路マップ(アミノ酸代謝、プリン代謝、ペントースリン酸回路、尿素回路、ピリミジン代謝、ポリアミン代謝、解糖系、TCA回路)を有経女性の内臓脂肪と比較することで、閉経後の脂肪組織における特異的な代謝経路が推定される。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は脂肪組織のメタボローム解析に研究費を使用する予定である。
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Research Products
(1 results)