2013 Fiscal Year Annual Research Report
閉経後女性の内臓脂肪蓄積機構の解明―メタボローム解析による創薬に向けた基礎的研究
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23592433
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
高橋 一広 山形大学, 医学部, 准教授 (20292427)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
倉智 博久 山形大学, 医学部, 教授 (40153366)
山谷 日鶴 山形大学, 医学部, 医員 (40550637)
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Keywords | エストロゲン / メタボリックシンドローム / 脂肪酸 / 閉経 / 内臓脂肪 |
Research Abstract |
目的:メタボリック症候群は、内臓脂肪の慢性炎症が発症基盤であると考えられており、脂肪組織内に蓄積するパルミチン酸 (C16:0) が、炎症惹起物質の一つであると報告されている。閉経後に増加する内臓脂肪において、有経時と比較して代謝機能に差があるのか否かについて、低分子代謝産物を網羅的に同定・定量するメタボローム解析を行った。 方法:1) 倫理委員会の承認後、手術患者39名(有経16名、閉経23名)から書面にて同意を得た上で、内臓脂肪である大網および皮下脂肪を摘出した。脂肪はそれぞれcapillary electrophoresis time-of-flight mass spectrometryで解析した。2) THP-1(ヒト単球性白血病細胞株)をマクロファージに分化させた後、飽和脂肪酸(パルミチン酸、ペンタデカン酸 (C15:0))200μMを添加し8時間培養後、IL-6, IL-8 mRNAの発現をreal-time PCR法で測定した。 成績:1) 皮下脂肪では両群に差がなかったが、閉経群の内臓脂肪で、飽和脂肪酸の代謝産物であるヘプタン酸 (C7:0)、オクタン酸 (C8:0)、ペラルゴン酸 (C9:0) の濃度が有経群に比較して有意に (p<0.05) 高値であった。2) 長鎖飽和脂肪酸であるペンタデカン酸及びパルミチン酸は、マクロファージにおけるIL-6, IL-8 mRNAの発現を有意に (p<0.05) 増加させた。 結論:皮下脂肪では閉経前後で脂肪酸の代謝に差は認められなかった。閉経群の内臓脂肪で、脂肪酸の代謝産物が有経群に比較して高濃度に存在することが、メタボローム解析で初めて明らかとなった。閉経後の内臓脂肪では、脂肪酸代謝に変化がおき、これがメタボリック症候群発症に関与する可能性が示唆された。
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Research Products
(3 results)