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2011 Fiscal Year Research-status Report

癌幹細胞理論にもとづく上咽頭癌発癌機構の解明

Research Project

Project/Area Number 23592522
Research InstitutionKanazawa University

Principal Investigator

室野 重之  金沢大学, 大学病院, 講師 (20345622)

Project Period (FY) 2011-04-28 – 2014-03-31
Keywords上咽頭癌 / EBウイルス / LMP1 / 癌幹細胞
Research Abstract

まずレトロウイルスによるLMP1発現ベクターおよびコントロールベクターを作製した.これらを用いて上咽頭細胞であるAd-AHに形質導入し,LMP1発現Ad-AH細胞(Ad-AH-LMP1)ならびにコントロール細胞(Ad-AH-neo)を樹立した.培養細胞において,Ad-AH-neoは親細胞であるAd-AHと同様の形態を示し,塊状の増殖を示したが,Ad-AH-LMP1はAd-AHとは異なる紡錘形を示し,バラバラになって増殖する傾向が見られた.形態学的に,LMP1によりEMT(上皮間葉移行)が誘導されていると推測された. ウェスタンブロットにより上皮系のマーカーであるE-カドヘリンはAd-AH-neoで検出されたが,Ad-AH-LMP1では発現が著明に現弱した.一方,間葉系のマーカーであるN-カドヘリン,フィブロネクチン,ビメンチンはAd-AH-neoでは検出されないもしくはきわめて弱い発現であったが,Ad-AH-LMP1では発現が著明に亢進した.これらの結果から,Ad-AHにおいてLMP1によりEMTが誘導されていることが示唆された.さらに,EMTへの関与が示唆されている転写因子のTwistおよびsnailの発現はともに,Ad-AH-neoでは検出されなかったがAd-AH-LMP1では亢進を認めた.これらの結果から,Ad-AHにおけるLMP1によるEMTには転写因子Twistおよびsnailが関与していることが示唆された.  ウェスタンブロットおよびフローサイトメトリーでは,Ad-AH-neoではCD44低発現CD24高発現である一方,Ad-AH-LMP1ではCD44高発現CD24低発現であった.癌幹細胞様形質の指標としてCD44高発現かつCD24低発現を用いると,LMP1により癌幹細胞様形質が獲得されると推測された.

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

仮説に従い,(1)EBV感染は上咽頭癌に特徴的な臨床的組織学的性質へ寄与する,(2)の現象はLMP1遺伝子発現により誘導されるEMTである,(3)LMP1は転写因子Snail,Twistを活性化してEMTを誘導する,(4)その結果分化から脱分化へのshuttlingがおこりこの時系列をさかのぼった細胞が上咽頭癌幹細胞候補となる,のステップを設定した.これらの4つのステップについてはおおむね達成できているが,研究計画で予定した,(1)運動能亢進の評価,および(2)Twistおよびsnailに対するsiRNAによる可逆性の評価,については未確認である.また,研究計画で予定した,(3)セルソーターを用いてAd-AH細胞をSPとNSPにわけ,それぞれのsphere形成および細胞増殖の観察,さらに(4)それらのヌードマウスへの皮下移植による造腫瘍能,についても未確認である.

Strategy for Future Research Activity

まず本研究の第一のテーマであるLMP1による癌幹細胞形質の獲得の検証について,今年度に達成できなかった課題につき継続して研究を進める.LMP1発現細胞の,運動能亢進の評価,Twistおよびsnailに対するsiRNAによる可逆性の評価,SPとNSP細胞の細胞増殖およびヌードマウスへの造腫瘍能の評価がこれにあたる. さらに,本研究の第二のテーマである「LMP1によるActiovation-induced cytidine deanimase (AID)活性化,EBNA1によるRecombination activation gear (RAG)活性化は,脱分化した上皮幹細胞もしくは前駆細胞の遺伝子変異を促進し,癌幹細胞生成促進的に働く」の検証に着手する.

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

siRNAの作成の費用を算定する.Ad-AH細胞のSPおよびNSPを分別するためにはフローサイトメトリーが必要であり,この試薬の購入予算を算定する.ヌードマウスの購入および飼育にも予算を算定する. LMP1によるAID活性化の検証はウェスタンブロットを中心に行う.EBNA1によるRAG1活性化の検証は,まずEBNA1発現ベクターの作成が必要であり,ウェスタンブロットにより検証する.Ad-AH細胞のSPおよびNSPの細胞分画にコントロールベクター,LMP1,EBNA1,LMP1+EBNA1を形質導入したうえで再度フローサイトメトリーを行う.これらに必要な試薬類の購入のための予算を算定する. また,癌幹細胞に関する研究は現在注目されており,情報収集のための旅費も算定する.

  • Research Products

    (1 results)

All 2011

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results)

  • [Journal Article] Epstein-barr virus latent membrane protein 1 induces cancer stem/progenitor-like cells in nasopharyngeal epitheial cell lines2011

    • Author(s)
      Satoru Kondo, Naohiro Wakisaka, Masamichi Muramatsu, Yoh Zen, Kazuhira Endo, Shigeyuki Murono, Hisashi Sugimoto, Shoji Yamaoka, Joseph S. Pagano, Tomokazu Yoshizaki
    • Journal Title

      Journal of Vorology

      Volume: 85 Pages: 11255-11264

    • DOI

      10.1128/JVI.00188-11

    • Peer Reviewed

URL: 

Published: 2013-07-10  

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