2011 Fiscal Year Research-status Report
頭頸部癌治療における高濃度酸素療法の可能性とロックス1発現に関する検討
Project/Area Number |
23592534
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
真栄田 裕行 琉球大学, 医学部附属病院, 講師 (40264501)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | ロックス1 / 頭頸部癌 / 高濃度酸素療法 / 発癌モデルラット |
Research Abstract |
研究課題「頭頸部癌治療における高濃度酸素療法の可能性とロックス1発現に関する検討」において、本研究の最終目的は頭頸部癌に有効な新規治療法を確立することである。この目的を達成するための短期目標に、平成23年度はまず分子生化学的手法を用いて、ロックス1の癌細胞に及ぼす分子生化学的機序を解明することを挙げた。すなわちヒトロックス1のcDNAクローニングを行い、種々の方法で結合タンパク質の探索をすると共に、抗ロックス1抗体を作製してロックス1の細胞内発現や局在を確認することを当初の目標とした。これを遂行するための具体的手順として(1)ヒトロックス1遺伝子のcDNAクローニング、(2)各種発現ベクターの構築、(3)ロックス1に対する抗体の作製、(4)酵母ツーハイブリッド法による基質タンパク質の同定、(5)ロックス1とその結合タンパク質に関する細胞生物学的解析を挙げた。さらに補助実験として細胞増殖アッセイ、フォーカスアッセイ、コロニーフォーメーションアッセイ、ヌードマウスへの移植実験、ボイデンチャンバー法などが計画されていた。これらのうち(1)cDNAクローニングおよびシークエンスはすでに終了している。(2)数種類の発現ベクターの作製は完了し、残りのベクターも順次作製中である。(3)抗ロックス1抗体の作製も完了している。以上に加え平成24年度に実施予定であったin vivo実験の一部についても着手している。すなわち癌遺伝子を組み込んだトランスジェニックラットを使用して発癌モデルラットを作製した。これを用いて現在高濃度酸素環境下における癌の生物学的特質の変化についての検討を開始している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度は主にin vitro実験を主体とした実験計画を立てた。まずロックス1遺伝子のcDNAクローニングおよび抗ロックス1抗体の作製が終了した。現在タンパク質発現のためのベクターを順次作製中である、これに引き続き結合タンパク質の探索に入る予定であったが、平成23年度中にH-Ras遺伝子を組み込んだトランスジェニックラットが完成したために、これを用いたin vivo実験を並行して行うこととした。すなわちトランスジェニックラットに4NQOという発癌物質を暴露させて舌癌を発生させた。この発癌モデルラットを高気圧チャンバーで飼育、高濃度酸素に暴露させることで、舌癌の癌生物学的特質の変化が生ずるかどうか検討中である。現段階では酸素濃度や暴露時間など種々の条件設定のための予備実験を施行している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度と24年度において、研究計画の一部に経時的な入れ替えはあるものの大勢に影響はなく概ね順調に推移しているものと思われる。すなわちin vitro実験においては引き続き発現ベクターの構築を行い細胞実験に至ることを目標とする。またそれに加え、抗ロックス1抗体を用いてパラフィン固定されたヒト頭頸部癌の免疫組織染色を施行し、実際の頭頸部癌組織におけるロックス1タンパク質の発現について検討する。in vivo実験においては条件設定の終了した発癌モデルラットを用いて引き続き癌生物学的特質の変化について検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成23年度に購入予定であった蛍光顕微鏡は、新機種の発売に伴う製品の変更を検討中のため保留となっている。24年度はこれを決定して購入する予定である。
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Research Products
(6 results)