2012 Fiscal Year Research-status Report
頭頸部癌治療における高濃度酸素療法の可能性とロックス1発現に関する検討
Project/Area Number |
23592534
|
Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
真栄田 裕行 琉球大学, 医学部附属病院, 講師 (40264501)
|
Keywords | ロックス1 / 頭頸部癌 / 高濃度酸素療法 / 発癌モデルラット |
Research Abstract |
研究課題「頭頸部癌治療における高濃度酸素療法の可能性とロックス1発現に関する検討」において、本研究の最終目的は頭頸部癌に有効な新規治療法を確立することであった。この目的を達成するための短期目標に、平成23年度においてはまず分子生化学的手法を用いて、ロックス1の癌細胞に及ぼす分子生化学的機序を解明することを挙げた。すなわちヒトロックス1のcDNAクローニングを行い、種々の方法で結合タンパク質の探索をすると共に、抗ロックス1抗体を作製してロックス1の細胞内発現や局在を確認することを当初の目的とした。これを遂行するための具体的手順として①ヒトロックス1のcDNAクローニング、②各種発現ベクターの構築、③ロックス1に対する抗体の作製、④酵母ツーハイブリッド法による基質タンパク質の同定、⑤ロックス1とその結合タンパク質に関する細胞生物学的解析を挙げた。さらに補助実験として細胞増殖アッセイ、フォーカスアッセイ、コロニーフォーメーションアッセイ、ヌードマウスへの移植実験、ボイデンチャンバー法などが計画されていた。これらのうち①cDNAクローニングおよびシークエンスは平成23年度に既に終了している。また平成24年度には②数種類の発現ベクターの作製が行われ、③抗ロックス1抗体が完成した。また平成24年度に実施を開始したin vivo実験の一部についても現在継続中である。これは癌遺伝子を組み込んだトランスジェニックラットを用いて発現モデルラットを作製し、これを使用している他、野生株のラットも同時に使用して高濃度酸素環境下における癌の生物学的特質の変化についての検討を行っている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成23年度は主にin vitro実験を主体とした実験計画を立てた。まずロックス1遺伝子のcDNAクローニングおよび抗ロックス1抗体の作製が終了している。またタンパク質発現のためのベクターも数種類完成している。平成24年度は結合タンパク質の探索と並行して、H-Ras遺伝子を組み込んだトランスジェニックラットおよび野生株ラットを用いたin vivo実験を行った。すなわちトランスジェニックラットおよび野生株ラットに4NQOという発がん物質を暴露させて舌癌を発生させた。この発癌モデルラットを高気圧チャンバーで飼育、高濃度酸素に暴露させることで、舌癌の癌生物学的特質の変化が生ずるかを検討していた。酸素濃度や暴露時間設定のための予備実験で、対象ラットの想定外の数が死亡してしまい、原因検索のため実験の一時中断を止むなくされた。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成23年度と24年度において、in vitro実験では研究計画の一部に経時的な入れ替えはあるものの、大勢に影響はなくおおむね順調に推移しているものと思われる。すなわちin vitro実験においては構築されたプラスミドおよび発現ベクターを用いた細胞実験を行う予定である。またそれに加え、抗ロックス1抗体を用いてパラフィン固定されたヒト頭頸部癌の免疫組織染色を施行し、実際の頭頸部癌組織におけるロックし1タンパク質の発現について検討する。in vivo実験においては引き続きラットの高濃度酸素環境下における生存の条件設定を行い、癌生物学的特質の変化について検討する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度は予定していた蛍光顕微鏡の購入を取り消し、ImageLabシステムを購入した。これによりタンパク質同定の迅速化、効率化が図られる。25年度は試薬や消耗品の購入、および関連する学会への参加を予定している。
|
Research Products
(3 results)