2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23592594
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
高木 均 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 教授 (70283596)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北岡 康史 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 講師 (10367352)
宗正 泰成 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 講師 (30440340)
上野 聰樹 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 教授 (20109010)
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Keywords | フェノフィブラート / トロンボモジュリン / PPARα / 血管内皮 |
Research Abstract |
本研究ではFIELDやACCORD-EYE studyにより明らかにされたフェノフィブラートの網膜症治療効果のメカニズムを明らかにすることにより、新規の網膜症発症機序、治療法を探索することを目的とした。フェノフィブラートは、核内転写因子PPARαのリガンドとしての作用を持つが、眼局所投与にても効果があることが実験的に示され、血中脂質是正効果以外に網膜血管細胞の PPARαを介した直接的な制御機構が注目されている。我々はフェノフィブラートよりもPPARα活性が強い合成リガンドを用いてヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)のDNAマイクロアレイによるトランスクリプトーム解析を行い、包括的な炎症関連遺伝子の発現レベル低下を見出し、血管細胞における抗炎症作用との相関が確認された。特に強力な抗炎症・抗血栓作用を有するトロンボモジュリンが遺伝子/蛋白レベルで誘導されることが明らかとなった。さらに、PPARαを介する転写調節やエピゲノミック調節を明らかにするためクロマチン免疫沈降後に次世代シーケンサ-でゲノム上の局在を解析するChIP-seq解析を行った。その結果、トロンボモジュリン遺伝子にPPARαによる結合部位とダイレクトな転写調節機構があることが新規に見出された。さらに、トロンボモジュリン遺伝子をsiRNA法によりノックダウンしたHUVEC細胞においてPPARα活性を検討したところ、ICAM,selectin,MCP1などの炎症関連分子の誘導抑制は全て解除された。網膜血管内皮細胞においても同様の結果が得られた。フェノフィブラートなどによるPPARα活性は多くの部分トロンボモジュリンの誘導を介していることが示唆された。網膜症動物モデルにおけるトロンボモジュリンの役割の解析とともに、今回使用した内服可能PPARα活性合成リガンドの臨床応用を視野に入れた検討を行っていくところである。本研究の内容は第118回日本眼科学会シンポジウム「糖尿病網膜症の分子病態」にて発表した。
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